まさに酷暑の時季。少し外出するだけでも厳しい陽ざしが容赦なく照り付け、日焼けも気になります。そんな時、味方になるグッズの一つが日傘です。
ウェザーニュースでは「日傘」の使用状況に関するアンケート調査を行いました。5年前の2019年の調査と比較すると、男性の使用率(※)は8ポイント増加して12%、女性は9ポイント増加の69%でした。
一般的に日傘は女性のイメージがありますが、男性も1割にのぼり、10人に1人が使用していることになります。
また、使用を「検討中」の方も女性で6%、男性では13%と、今後も増えていくとみられます。
(※本調査の使用率は「使ってる」と「今年デビューした」の合計を割合にしたものです)
日傘の素材やさし方でも日焼けのもとになるUVをカットする効果が変わるそうです。
詳しい話を電気通信大学特任教授の石垣陽先生に伺いました。
UVカットは加工だけでなく素材や色に注目
「日傘のUVカット効果は時間とともに失われるのでは?」という不安を持つ方も少なくないと思います。
「確かに、UVカットの加工は時間の経過や使い方などによって当初の効果は徐々に失われていくと言われています。そこで、UVカットは加工だけに頼るのではなく、日傘の素材そのものに注目することで、より効果的で長持ちするUV対策が可能になります」(石垣先生)
日傘に使われる素材としては、ポリエステル、ナイロン、綿(コットン)、絹、ビニール(ポリエチレン、ポリ塩化ビニル)などがありますが、これらで比較してみましょう。
「素材そのもので言えば、ポリエステルが最もUVカットの効果が高いと言えます。ナイロン、綿、絹については、紫外線を通しやすい性質があるので、UVをカットにするにはUVカット加工が必要ということになります。
また、いわゆる透明のビニール傘ですが、素材にはある程度のUVカット効果があります。透明だからといってUVがカットできない、ということはないのです。陽ざしの熱は避けられませんが、さすことである程度のUVカット効果が期待できます」(石垣先生)
素材だけでなく、色によっても紫外線カット効果は変わります。
「一般にUV防御能は染色によって向上するようですが、何色が良いかというと、最もUVカット効果が高いのは黄色、次いで赤、青と黒だったという報告があります。
黒よりも黄色が高いのは意外ですが、これは黄色が紫外線などの波長の短い色を吸収しやすく、透過しにくい性質を持つためだと考えられます」(石垣先生)
タグやパッケージで素材を確認
UVカットに有効な傘を購入する場合はどうすればよいでしょうか。
「傘を販売するには、家庭用品品質表示法に基づいた商品の品質について事業者に表示義務があります。傘本体には素材が書かれていなくても、購入する際のパッケージやタグを見れば、必ず素材が書いてあるので、デザインや骨組み、持ち手だけではなく、生地の素材を必ず確認しましょう。
また、紫外線を通しやすい素材であれば、UVカット加工が施されているかも確認してください」(石垣先生)
さし方でもUVカット効果が変わる
日傘の素材だけでなく、さし方によってもUVカットの効果は変わります。
「紫外線は散乱しやすい性質があります。そのため、たとえ紫外線を100%カットできるような素材の傘を使っていたとしても、散乱・反射によって紫外線が横方向の周囲から入ってしまうと言われています。頭や顔への紫外線の侵入を防ぎ、UVカット効果を得るには、傘をなるべく深くさすようにしましょう。
また、周囲から広く照らされる紫外線に対する防護として、日焼け止めをしっかり塗ることも忘れないようにしましょう」(石垣先生)
日傘はUVカットだけでなく、頭部に当たる直射日光を遮る効果もあります。
この夏は紫外線対策はもちろん、熱中症対策としても日傘を上手に活用したいですね。
参考資料
国立環境研究所地球システム領域地球環境研究センター「絵とデータで読む太陽紫外線-太陽と賢く仲良くつきあう法」、塩原みゆき・斉藤昌子「綿、ポリエステル布による紫外線防御」(2011・共立女子大学リポジトリ)
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