米大統領選挙の共和党候補ドナルド・トランプ氏の選挙集会でヒット曲「My Heart Will Go On」のミュージックビデオ(MV)が無断で使用されたとして、歌手のセリーヌ・ディオンさんのチームがトランプ陣営を批判している。
「My Heart Will Go On」は、1997年に公開された大ヒット映画「タイタニック」の主題歌であり、ディオンさんの代表曲の一つ。
BBCによると、ディオンさんが同曲を歌唱するMVが、8月9日に米モンタナ州ボーズマンで開催されたトランプ陣営の選挙集会で流された。トランプ氏がステージ上に登場する前に、支持者ら向けに巨大スクリーンに映されたとみられる。
SNS上では、ディオンさんの映像が流されている集会の動画が拡散されている。
ディオンさんのチームは日本時間の8月11日に、Xで声明を発表。
「本日、セリーヌ・ディオンのマネージメント・チームと彼女のレコード・レーベルであるソニー・ミュージックエンタテインメント・カナダは、モンタナ州で開催されたドナルド・トランプ/JD・ヴァンスの選挙集会で、『My Heart Will Go On』を歌うセリーヌ・ディオンの映像、録音、演奏、肖像が無断で使用されていることを確認しました」と報告。
続けて、「このような使用はいかなる場合も許可されておらず、セリーヌ・ディオンは今回を含め、同様の使用を承認していません」と明言した。
その上で、投稿の最後には「本当に、“あの歌”を使ったんですか?」と不信感をあらわにした。
トランプ陣営による無許可の楽曲使用に抗議したのは、ディオンさんが初めてではない。
NBCによると、伝説のロックバンド「ローリング・ストーンズ」は、2016年にトランプ陣営が集会で「Start Me Up」を使用したことを受けて声明を発表。使用を許可したことは一度もないとし、「即時の使用停止」を求めた。
このほか、ニール・ヤングさんや英歌手のアデルさんなども、自身の曲がトランプ氏の集会で使用されたことを批判している。
一方BBCによると、法的には、アメリカの政治家は必ずしもアーティストから直接許可を得る必要はないという。
政治家たちはキャンペーン活動において、音楽著作権団体からライセンスパッケージを購入でき、2000万曲以上の楽曲に合法的にアクセスすることができる。
ただ、アーティストにはそのリストから自身の楽曲を削除する権利があるとも説明している。