ペルーのアマゾンで、外界とかかわりを持たない非接触部族であるマシコ・ピロ族と伐採業者の間で緊張が高まっている。自分たちの土地への侵入者に同族が矢を放ち、少なくとも伐採業者1人が重傷を負ったという。
先住民族の人権を守るために活動する団体「Survival International」が8月6日、弓矢を手にしたマシコ・ピロ族の写真を公開し、同族の生存のついて「きわどい状況にある」と訴えている。
マシコ・ピコ族はペルー南東部で孤立した生活を送る人々で、同団体によると非接触部族としては世界最大規模という。
マシコ・ピロ族については、自分たちの土地に入ってくるようになった伐採業者から逃れるように、食料を求めて熱帯雨林から姿を現す頻度が増えていると、先住民の権利保護団体「FENAMAD」が懸念を示していた。
同族に通じる言語を話すYine族によると、マシコ・ピロ族は自分たちの土地に伐採業者が入ってきていることに憤っていた。政府がマシコ・ピコ族による領有権を認め、法律で保護に動かねば、部族と伐採業者の双方が暴力的な手段を選ぶことにもなりかねないと心配されていたところだった。
Survival Internationalは、マシコ・ピロ族による今回の攻撃で重傷の1人を含めて、3人の伐採業者が怪我を負ったとみられるとしている。
現在、同族の土地は一部しか保護されていない。残りの土地については伐採権が売却されている。伐採業者はブルドーザーを使って、長さ190キロ超にも延びる木材切り出すための道路を熱帯雨林内に整備するなどしている。
同団体はマシコ・ピロ族が以下の3つの脅威にさらされていると指摘している。
1)伐採活動が増えれば、先住民族と伐採業者が命の危険をともなう遭遇をする可能性が高まる。
2)新しく整備された道路は、熱帯雨林を破壊する開拓者や入植者にとって容易な進入経路となる。
3)部外者が押し寄せれば、高い確率でインフルエンザやはしかなどマシコ・ピロ族にとって免疫のない病気を持ち込むことになる。病気が流行すれば、大勢の犠牲者が出ることになる。