カンコー学生工学研究所は8月6日、「多様性に配慮した制服の導入効果の検証」の調査結果を発表した。
その結果、学校制服の変更や、女子スラックスなどを追加導入することで、気候への適応や、多様性意識、ジェンダー意識の向上などの効果があることが分かった。
詳しい調査結果は、希望する学校や教育関係者に配布している。調査に関わったお茶の水大グルーバルリーダシップ研究所の特別研究員・内藤章江さんは「何のために制服を変更しアイテムを追加するのか、今一度考えていただくきっかけになれば」と話す。
◆制服は「自分らしく」過ごす一助になっている?
近年、多様性への配慮・対応として、学校制服に女子向けスラックスやブレザータイプの制服を導入する動きが急増している。調査は導入後の着用実態や効果、学校の様子の変化を可視化する目的で、同研究所とお茶の水大が共同で実施した。
2018年から2023年に制服変更の検討をした中学校2027校を対象に、2023年12月中旬から2024年1月中旬にかけてウェブで行い、441校から回答を得た(有効回答率21.8%)。
学校制服の変更や、女子スラックスなどの追加導入により期待した効果として最も多かったのは、「多様性意識の向上」で、「とても期待している」が62.8%、「まあまあ期待している」が25.1%だった。
次いで「ジェンダー意識の向上」(「とても期待している」61.1%、「まあまあ期待している」25.3%)、「制服の機能面の充実化」(「とても期待している」45.3%、「まあまあ期待している」35.6%)となった。
制服の変更や、女子スラックスなどの追加導入後の効果や影響が「大いに見られた」という声が、期待の高かった項目を抑えて1番多く集まったのは、「気候への適応変動」で31.7%だった。
また「制服の選択・着用における躊躇の排除」も、「大いに見られた」が27.1%、「まあまあ見られた」が33.8%だった。
カンコー学生工学研究所の川井正則所長は「今回の結果から、子どもたちひとりひとりが『自分らしく』過ごすことの多様性に配慮した制服が一助となれていること、また、まだまだ課題があることが見えてきました」とコメントした。