パレスチナ自治区・ガザ地区北部の難民キャンプへのイスラエル軍による空爆で、中東の衛星テレビ局アルジャジーラの特派員2人が死亡した。CNNなど複数の海外メディアが報じた。
アルジャジーラによると、殺害されたのは記者のイスマイル・アル・ゴウルさんと、カメラマンのラミ・アル・リフィさんで、いずれも27歳。シャティ難民キャンプで車中にいたところ、空爆に遭ったという。
2人は現地時間の7月31日、イスラム組織ハマスのイスマイル・ハニヤ政治局長の自宅近くから、生中継で報道していた。ハニヤ政治局長は同日、イランの首都テヘランで暗殺された。
2人はプレス用のベストを身につけており、車にも身元を識別できる印があったと、アルジャジーラは報じている。
同僚記者であるアナス・アル・シャリフさんは「イスマイルは、避難しているパレスチナ人の苦しみ、負傷者の苦しみ、そして罪のないガザの人々に対するイスラエル軍による虐殺を伝えていた」と悼んだ。
CNNによると、ゴウルさんはガザ中心部に避難していた妻と2歳の子どもに10カ月間、会っていなかったという。
アルジャジーラは声明で、今回の2人の殺害はイスラエル軍による「標的を絞った暗殺」だと批判。「これらの犯罪の加害者を訴追するため、あらゆる法的措置を取る」と述べている。
少なくとも113人が殺害された
ジャーナリスト保護委員会(CPJ)の報告によると、2023年10月7日から2024年7月31日までに、イスラエル軍の攻撃によって少なくとも113人のジャーナリストとメディア関係者が殺害されている。このうちパレスチナ人は108人、レバノン人3人、イスラエル人は2人。
さらに、52人のジャーナリストが逮捕されたほか、32人が負傷し、2人が行方不明となっている。
CPJは、同委員会がデータ収集を開始した1992年以来、ジャーナリストにとって最も犠牲者が多い時期だと説明。「民間人を故意に標的にすることは戦争犯罪に当たる」と強調している。
世界最大のジャーナリスト組合である国際ジャーナリスト連盟(IFJ)も、ゴウルさんとリフィさんの死に触れ、「この虐殺を非難する言葉が尽きた。イスラエルは、ジャーナリストの殺害をやめなければならない」とXで投稿した。
国連の専門家たちは2月の声明で、「パレスチナのガザ地区で、あからさまに国際法を無視して非常に多くのジャーナリストやメディア関係者が殺害され、攻撃され、負傷し、拘束されていることを我々は憂慮している」と、懸念を表明している。
アルジャジーラのモハメド・モアワド編集長はXで、「イスマイルは、そのプロ意識と献身的な姿勢で、ガザ、特にアル・シファ病院と北部地区で行われている苦難と残虐行為に対する世界の注目を集めた。イスマイルがいなければ、世界はこれらの虐殺の悲惨な映像を目にすることはなかっただろう」と惜しんだ。
「イスマイルは、人々と故郷に対する使命を果たした。民間人、ジャーナリスト、そして人類を裏切った者たちは恥を知れ」。