若い男性の3割⇨育休は「半年以上」を希望。就活への影響も。仕事とプライベートの両立を意識も

約9割が育休取得を希望し、男性の約3割が半年以上の育休取得を望んでいることがわかりました。また、男性の育休取得率(2023年度調査)が30.1%と過去最高になったことも報告された。

若い男性の約3割が育児休業期間を「半年以上取得したい」と思っているーー。

男性の育休取得率の底上げを図る厚生労働省「イクメンプロジェクト」(駒崎弘樹座長)は7月31日、東京都千代田区の同省で会見を開き、「若年層における育児休業等取得に対する意識調査」発表した

若年層では育休を取得するだけでなく、長く取得したいという傾向が強いほか、多くの人が仕事とプライベートの両立を意識していることもわかった。

また、同省の「雇用均等基本調査」(2023年度)の速報値も同日公開され、男性の育休取得率が30.1%と過去最高になったことが報告された。

優秀な人材を獲得したい企業にとっては、ますます重要なテーマとなりそうだ。

約9割が育休を取得したい。男性も長期で

若年層における育児休業等取得に対する意識調査は、6月22〜25日にウェブ上で行われ、高校生や大学生など全国の学生若年層7840人(18〜25歳)が回答した。

その結果、速報値では87.7%(男性:84.3%、女性:91.4%)が「自身は育休を取得したい」(「どちらかというと」を含む)と回答した。

育休を取得したいと答えた人たちに「育休の取得期間の希望」について聞いたところ、男性では「1カ月から3カ月未満」25.3%と最多だった。また、「6カ月以上」と答えた人たちは、合わせると29.2%に上ったという。

女性では「1年以上」(24.2%)が最多だった。

このほか、「配偶者に育休を取得してほしいか」と尋ねたところ、88.6%(男性:88.2%、女性:89.1%)が「取得してほしい」(「どちらかというと」を含む)と答えたという。

就活への影響は?約7割が「影響ある」

調査では、育休の就職活動に対する影響についても聞いた。

本格調査の対象として選んだ2026人に、「就職活動において企業の育休取得状況はどのくらい企業選定に影響を与えているか」と質問すると、69.7%(男性:63.3%、女性:76.7%)が「影響がある」(「やや」も含む)と答えた。

一方、7840人のうち、育休取得の実績がない企業に就職したくないと回答した割合は61.0%(男性:57.3%、女性:65.1%)に上った。

つまり、学生らは就職活動において、育休の取得実績をよく見ているということだ。

さらに、77.9%(男性:76.8%、女性:79.1%)が「仕事とプライベートの両立を意識」(「やや」も含む)し、2026人のうち男性の87.9%女性の85.9%「仕事も育児も熱心に取り組むつもり」(「どちらかというと」を含む)と答えたことも判明した。

駒崎弘樹さんと小室淑恵さん
駒崎弘樹さんと小室淑恵さん
ワーク・ライフバランス提供

結婚や子育てのハードルは?

このほか、結婚を希望していない506人に「結婚のハードル」について聞いたところ、「お金の問題」53.9%と最多だった。

次に多かったのは「結婚相手の働き方の問題」(42.2%)で、男女別で見ると、男性(241人)は「お金の問題」(55.9%)、「住居の問題」(39.0%)、「結婚相手の働き方の問題」(38.1%)と続いた。

女性(265人)は「お金の問題」(51.8%)、「結婚相手の働き方の問題」(46.5%)、「自分の働き方の問題」(40.7%)の順だった。

また、子どもがほしいと思っていない570人に「子育てのハードル」を尋ねたところ、「お金の問題」56.7%と最も多かった。次に多かったのは、結婚のハードルと同様に「結婚相手の働き方の問題」(36.1%)だった。

この調査結果を受け、イクメンプロジェクト推進委員で「ワーク・ライフバランス」(東京都)の小室淑恵社長は、7月31日の会見で「今の若者は数日だけ取得する『取るだけ育休』ではなく、数カ月以上の『子育て育休』を望んでいることに目を向けなければならない」と指摘。

その上で、「企業は働き盛りの社員が数カ月単位で抜けたとしても職場が回る仕組みを作るべき。育児だけでなく、介護で休業する社員が増えることも考えると、その場しのぎの対応ではやっていけない」と語った。

また、男性が育休を取得することによって生まれる効果についても言及した。

ワークライフバランスのためだけではないとし、「妊産婦が死亡した原因の1位が自殺だったというデータもあるが、産後うつが発症しやすいピークである2週間から1カ月の間に夫が育休を取ることができれば、妻と子どもの2人の命を救うことにもつながる」と話した。

このほか、働き方改革や男女の家事・育児の偏りが解消されなければ、若者は海外にある企業を選んで国外に流出してしまうとし、「個々の企業は努力をしているが、社会全体として男性育休の推進のほか、仕事の属人化や賃金格差の解消などにも取り組んでいかなければならない」と述べた。

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