同性パートナーを「他の親族」に修正される国勢調査。LGBTQ当事者は訴える「配偶者にカウントすべき」

これまでの国勢調査で同性同士のカップルは、世帯主との続き柄を「配偶者」と回答しても、エラーとして扱われたり、「他の親族」という分類に上書き修正されたりしてきた。
同性パートナーを国勢調査でも配偶者として集計することを望むレズビアンの井上ひとみさん(左)と瓜本淳子さん
同性パートナーを国勢調査でも配偶者として集計することを望むレズビアンの井上ひとみさん(左)と瓜本淳子さん
ハフポスト日本版

5年に1度の国勢調査が2025年に行われるのを前に、「同性パートナーを配偶者として集計すること」を求めるオンライン集会が7月30日、開かれた。

主催した公益社団法人「Marriage For All Japan-結婚の自由をすべての人に」によると、これまでの調査では、同性同士のカップルは世帯主との続き柄を「配偶者」と回答しても、エラーとして扱われたり(2015年)、「他の親族」という分類に上書き修正されたりしてきた(2020年)という。

自身もレズビアンで、特定非営利活動法人カラフルブランケッツ理事長を務める井上ひとみさんは「法整備をしてから検討する、という意見もありますが、法整備のためにも、正確に実態を把握する必要があると感じます」と要望した。

◆男女の事実婚と区別する必要があるのか

国勢調査を巡っては2020年の前回調査時も、同法人などが同性カップルの世帯数の集計などを要望したが、高市早苗総務相(当時)は「我が国の婚姻制度は異性間に現在は限定されているので、国勢調査における婚姻関係も異性間に限定されることになる」とし、集計しなかった。

2025年の調査についても、同性パートナーの集計などの具体的な方針は現在、示されていない。

オンライン集会で、早稲田大学社会科学総合学術院の釜野さおり教授は、同性パートナーを配偶者として集計することについて、「男性同士、女性同士のカップルの比率や格差、国籍の組み合わせや年齢層、子どもがいるかどうか、居住地、求職の有無などの実情を把握できる」と指摘。

その上で、「医療や福祉、防災や行政サービスのために必要なデータであり、ビジネスの面でも、結婚式場や住宅ローン、生命保険など、様々な分野に活かすことができる」と強調した。

同性カップルに対しては、国勢調査には守秘義務があり、第三者に許可なく性自認や性的指向などを伝える「アウティング」は禁止されているとした上で、「今後さかのぼって集計される可能性もあり、無回答とせずに回答したほうがいい」と説明した。

カラフルブランケッツ理事長の井上ひとみさんとパートナーの瓜本淳子さんは、2011年から一緒に暮らし、2015年には結婚式を挙げた。2018年には大阪市でパートナーシップ制度を利用するなど、事実上は結婚し、ともに生活している。

2020年の国勢調査では、井上さんを世帯主、瓜本さんを配偶者として回答した。配偶者と書いても、「他の親族」として集計されたことについて、井上さんは「本当に心外だと思いました。親族ではないわけですから」と指摘。

「異性の場合、事実婚でも配偶者になるわけですから、そのまま集計して良いと思います」と望んだ。

 〈取材・執筆=佐藤雄(@takeruc10)/ハフポスト日本版〉

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