マネジメントサービスなどを提供するClipLineは7月22日、「非正規社員のキャリアアップと昇給に関する調査」の結果を発表した。
調査は外食業、小売業を対象に行い、①非正規社員として働く、もしくは過去一年以内に働いたことがある1073人がオンラインで、②国内に70拠点以上を展開し、非正規社員を雇用している企業252社の本部管理職が電話で回答した。
総務省によると、宿泊・飲食業界では従業員の約75%が非正規社員。生活関連サービスや小売業など主要3業種でみると、全体の半数以上が非正規社員だという。
調査では、「このような場面で非正規社員は正社員と同等の責任を負いながらも、キャリアアップの機会が限定的であり、スキルアップや昇給の可能性も制限されがちです」と指摘している。
実際、現場で働く非正規社員へのWebアンケートで「昇給機会があるか」聞くと、「ある」と回答した人は51.9%にとどまった。34.3%が「ない」、13.8%が「わからない」と回答している。
昇給機会の有無は企業規模(拠点数)と明確な相関があるようだ。「100拠点以上」ある企業のうち、昇給機会が「ある」と回答した人は6割以上だったが、個人経営の企業では3割程度だった。
昇給の基準は曖昧なところが多そうだ。昇給条件を聞くと、「店長や上司の判断による」という回答が5割弱だった。
調査では、「昇給条件が決まっていない、または決まっていても開示されていないか知る機会がないなど、どうすれば昇給するのかが不明なままで働いていることが多いと考えられる」と指摘している。
企業を対象に行った電話調査でも、キャリアアップ制度の課題として「評価基準のバラつき」が1番に挙げられている。評価項目があったとしても、判定基準の属人化や「正しく評価できているかを検証する手段がない」などの課題があると考えられそうだ。
また、昇給したとしても、約半数が「時給99円までの昇給」にとどまっている。
では、働いている当事者はスキルアップや昇給についてどう考えているのか。
属性別に見てみると、学生は「スキルアップするしないに関わらず昇給を望む」、フリーターは「「スキルアップを望まず昇給はしたい」と回答する人が多かった。シニアは「現状維持を望み、スキルアップも昇給も求めない」が最も多く4割を占めた。