性同一性障害特例法に基づいて男性から性別変更した女性と、自身の凍結精子を使って生まれた次女との間に、法的な親子関係が認められるかなどが争われた訴訟の上告審が6月21日、最高裁第2小法廷(尾島明裁判長)であった。尾島裁判長は、法的な親子関係を認める判決を言い渡した。
裁判官4人全員一致の判断で、女性を次女の「父親」と認めた。朝日新聞によると、生物学上の親と、親の性別変更後にできた子との法的親子関係について、最高裁が判断したのは初めてという。
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◆子どもの福祉の視点
40代女性は2018年に男性から女性に性別を変更した。性別変更前に自身の凍結精子でパートナーが長女を出産。性別変更した後の2020年に再び凍結精子で、次女が生まれた。娘の「父親」としての認知届を自治体に出したものの認められず、家族で裁判を起こした。
判決文は、法律上の性別を女性へと変更した血縁上の父が親権者となる可能性や、父方の親族から扶養を受けられる可能性などを子どもから一律に奪うことは、「子どもの福祉に反することは明らか」と指摘。
裁判官4人全員の意見として「戸籍上の性別にかかわらず、父親としての認知を求めることができる」とし、性別変更後に生まれた次女との親子関係を認めた。
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