「ずっと友達」に縛られなくていい。年齢とともに変化したLiLiCoの友情観「一番の親友は…」

好評連載 第48回 LiLiCoの「もっとホンネで話そう。私たちのこと」
LiLiCoさん
Yuko Kawashima
LiLiCoさん

母国であるスウェーデンに帰国する際、LiLiCoさんが楽しみにしていることの一つが、親友のカッティスさんとの対面。出会ったのは7歳の時ですが、「お互いに人生でいろいろな経験をしてきて、今が一番仲がいい」と感じているそう。

世間を騒がすイシューからプライベートの話題まで、LiLiCoさんがホンネで語り尽くす本連載。今回のテーマは「友情」です。18歳で来日し、「誰でもいいから友達がほしいと思っていた」20代を経て、今は、仲のいい友達でも「何でも」は話さなくていいと考えるようになったというLiLiCoさんが、その友情観の変化について語ります。

7歳で出会ったスウェーデンの親友カッティス

Yuko Kawashima

スウェーデンに帰国する時の楽しみの一つが、親友のカッティスに会うこと。家族ぐるみの付き合いなので大人数でパーティーをするのがお決まりだったのですが、この4月に帰国した際は、大人になって初めて2人きりでディープに語り合い、特別な思い出になりました。

話をしたのは、お互いの今とこれからの人生について。カッティスは20代前半に出産し、2人の子どもはすでに独立しています。2人とも本当に良い子で、私も生まれた時から可愛がり成長を見守ってきました。

友人の私から見ていても、母親としてのカッティスは素晴らしくて、必要以上に口出しをせず、子どもたちを信じている。2人はのびのびと育って、今は憧れの仕事に就いています。カッティス自身も何度か仕事を変えたり、美容の自営業をやったりと、好きなことに関わりながら、その時のライフスタイルにあった職業を選んでいます。

私の母の晩年についても話しました。スウェーデンで一人で暮らしていた母は晩年心を病んでいて、日本にいる私に毎日「死にたい」とメールをしてきましたが、そのメールは私だけでなくカッティスにも送られていたのです。それを改めて謝罪したり、当時の話をしたり……。

楽しい時間はあっという間で、7歳からの時間を埋めるように、またさらに仲が深まりました。この日は家族でも集まっていましたが、「次に帰国したら2人だけでレストランに行こうね」と約束もしました。

1つ年上のカッティスとの出会いは7歳の時。私が団地から一軒家に引っ越したのがきっかけで、10歳の時には転校して同じ学校に通うようになりました。彼女の家の前を通って通学する時には、大きな窓からおじいちゃんの姿が見えたものです。

ただ学生時代は、学年が違うカッティスが大人に見えて、あまり深い話をすることはありませんでした。その後、18歳で来日してからは、文通で近況報告をしたり、私が帰国する際に会ったりする関係に。お互いに人生でいろいろな経験をしてきて、今が一番仲がいいなと感じています。

Yuko Kawashima

カッティスは、とても心のきれいな人。彼女は今まで2人のパートナーを病気で亡くすというつらい経験をしています。2回とも私は日本から彼女を励ますことしかできず、近くにいてあげられずに悔しかった。2人も愛する人を亡くす気持ちを想像するだけで、胸が張り裂けそうになります。でも、いつも考えるようにしているんです。「もしも彼らの運命が決まっていたとして、最期は最高に素敵なカッティスと過ごせて幸せだったのかなぁ」と。…そう考えたとしても、涙が出てきてしまうんですけどね。

スウェーデンの中でも、特に私の暮らしていた地域は、同じ家に代々住んでいることが多く、カッティスも、生まれた時から住んでいる家で今もご両親と暮らしています。ご両親は私を娘のように思ってくれていて、家に私の本と、私とトム・クルーズのツーショットを飾ってくれているんですよ。帰国した際は、お子さんも集まり、家族総出で大歓迎してくれます。

帰国の際は、彼女が好きなターコイズのお皿やコップをお土産に買って帰るんです。喜んでもらえたらうれしいし、彼女の顔を思い浮かべて選ぶのも楽しいんですよね。

カッティスが日本に来たときは、最高の観光コースを準備しました。私が日本に来て、今まで出会った仲間たちも力を貸してくれて、数日はお祭り騒ぎでした。

「ずっと友達」に縛られなくていい

Yuko Kawashima

40歳をすぎると、本当に仲の良い友達がわかるようになってきます。「友達はたくさんいないとダメなのでは?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。30代のときは「この人は友達」「この人は親友」と分けていた時もありましたが、今は関係性に名前を付ける気にすらならないんです。

そもそも、学生時代からの友達と大人になっても仲がいいなんてレアケース。私はカッティスぐらいしかいませんし、20代から付き合っている仲良しの友達も6人ぐらいです。

ラジオ(レギュラー出演しているJ-WAVEの『ALL GOOD FRIDAY』)に寄せられるお悩みを聞いていると、日本には昔から一緒にいる友達を手放せないという感覚を持っている人が多いように感じます。

「幼馴染の友達が最近、別の人とつるむようになって悩んでいる」「昔からの友達が、最近私の悪口を言っているみたいです」……そんな悩みを抱えているなら、その友達と離れればいいのに、と思うんです。

人間とは変わるもの。通っている学校、所属する組織、付き合う人、住んでいる地域など、環境によって自分も相手も変わっていくのだから、相性が悪くなることもあります。昔から仲が良かったからと言って、しがみつく必要はまったくありません。何歳になっても新しい友達ができますし、嫌な気持ちで誰かとお付き合いするのは精神的に良くない。手放してみてください。

仕事ではさまざまな人と関わることになるから、相性が合わなくても、それが「社会」なのだと思えばいい。でも、あなたを見て笑顔になる人が「友達」です。

「仲良くいられるように努力したい。それは、夫でも友達でも同じ」

Yuko Kawashima

そもそも「友達」の意味もまた、人生の時期によって変化する気がします。私の場合、日本に来て間もなかった20代は誰でもいいから友達がほしかった。30代は、仕事の人とばかりつながっていた。40代になり、また50代になる頃にはコロナ禍も経験して、自分にとって大事な人たちが誰なのか、はっきりとわかるようになりました。

今大切に思う人の中には、昔からの友達もいれば、年を重ねてから「昔から知っているのでは?」と思うぐらいに波長が合って仲良くなった人もいます。

「友達がいなくなってしまったらどうしよう」「あの人は親友じゃないかもしれない」と不安になっていた時期もあるので、友達で悩む人の気持ちはわかります。ただ、今はそれが本当にバカバカしいことだったと思います。

もっとゆるく考えていいんです。「親友かどうか」を決めなくていいし、仲がいいからといって何でも話す必要はありません。

実際私は、一番仲のいい人たちにだって、「何でも」は話しません。それは、秘密にしたいことがあったり、自分を偽りたかったりするからではなく、仲のいい人たちを嫌な気分にさせたくないから。

例えば、朝に大きな夫婦げんかをして、仲直りせずにお互いが仕事に出た日の夜、友達が家に遊びに来たとします。私たちが楽しくおしゃべりしながら食事をしているところに、小田井(パートナーでタレントの小田井涼平さん)が帰宅したら、私はけんかのことはいったん置いておいて、明るい声で「おかえり~!」と大歓迎するでしょう。

そうした方が友達は気分よく過ごせるし、私も嫌な気持ちを忘れることができます。翌朝、小田井に「昨日は盛り上げてくれてありがとう」とも言います。……そう考えると、仲直りのきっかけにもなるしラッキーですよね(笑)。

なんだかんだ言って、私の一番の親友は小田井なのかもしれません。けんかをすることもありますが、彼とおしゃべりするのはすごく楽しいし、これからもプライベートをともにしたい。

人と人だから完全にわかり合うことは難しいかもしれないけれど、これからも仲良くいられるように努力したい。それは、夫でも友達でも同じなのだと思います。

Yuko Kawashima

(取材・文=有馬ゆえ、写真=川しまゆうこ、編集=若田悠希)