総合人材サービスを提供するランスタッドは、LGBTQ当事者の労働環境に関する調査を行い、6月19日に結果を公表した。
調査は、社員の満足度や心の健康度を把握するもので、7カ国のLGBTQ当事者2000人超(日本は350人)の従業員に対して実施した(オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、オランダ、イギリス、アメリカ)。
その結果、日本ではLGBTQ当事者の34%、全体では41%が職場で差別や偏見に直面したことがあると回答。自身のセクシュアリティや性自認がキャリアに悪影響を与えたと答えたのは日本で23%、全体は33%だった。
またLGBTQの従業員に対し、雇用主が公平な職場を作るために意味のある行動をとっていると答えたのは、全体では51%だったが、日本では3%となった。
◆LGBTQに関する取り組みは、プライド月間のみではいけない
調査によると、職場で自分らしくいられないため、仕事に対するモチベーションや生産性が低下していると回答したLGBTQ当事者日本では27%、全体では36%となった。オフィスが自分にとって包括的な空間であると感じられないため、リモートワークの方が好ましいと答えたのは、日本が29%、全体では36%だった。
職場での差別を心配するあまり仕事を辞めた(日本23%、全体29%)、別のキャリアパスを模索せざるを得なくなった(日本23%、全体32%)という実情も明らかになった。
また過半数(日本51%、全体57%)が、企業は社内でセクシュアリティや性自認などの課題に取り組み、前向きな変化を起こすべきだと回答。
性的マイノリティの人々の権利を啓発するイベントが世界中で行われる「プライド月間」(6月)について、日本では25%、全体では41%が積極的に関与していると答えた。一方で、雇用主の貢献を形だけのものと考えている人は、日本で29%、全体で39%に上った。
ランスタッドは「労働者は形だけの行動を強く意識しており、企業はその行動が不誠実であると思われないように注意すべき」とまとめている。
また、差別がキャリアアップに与える影響に対する懸念について、Z世代と出生率が上昇した1946年から1964年に生まれたベビーブーマー世代の差が開いた(日本は50%対18%、全体は45%対29%)。ランスタッドは「若い世代が雇用主に対して求めるさらなる変化に対し、理解と対応が必要」と受け止める。
ランスタッドは今回の調査結果を踏まえ、雇用主がLGBTQ当事者を受け入れる環境作りのために、「LGBTQ当事者に対し、性別や性的指向のみで定義せずに尊重すること」「プライド月間は、企業にとってLGBTQに関するを取り組みを振り返る重要な機会だが、この意識は1カ月だけにとどまらないようにすること」などが大切だとしている。