立候補年齢を25歳・30歳から18歳に引き下げることを目指す「#未来を生きるわたしが決める」 キャンペーンが6月13日に始動し、キックオフとなるイベントが都内で開催された。
イベントを主催したのは同キャンペーンを呼びかけた、若者の政治参加促進を目指す一般社団法人「NO YOUTH NO JAPAN」。ゲストにニュージーランドの環境アクティビストで、18歳で地方議員になったソフィー・ハンドフォードさんが登壇した。
ニュージーランドでは、若者が選挙に立候補したことで、社会にどんな変化が起きたのか。「若者は経験不足では」と言われた時、どう反論できるのか。語り合った。
ニュージーランドで起きた「Youthquake(若者の激動)」
2019年、ニュージーランドで「Youthquake(若者による地殻変動)」が起きたのをご存じだろうか。 「Youth(若者)」と「Quake(震動)」を組み合わせ、「Earthquake(地震)」になぞらえた造語で、地方選挙で記録的な数の若者が勝利を収めたのだ。
ハンドフォードさんはこのYouthquakeを起こした一人だ。2019年、「気候のための学校ストライキ(School Strike 4 Climate)」を主導し、ニュージーランド全土で17万人、人口の3.5%を動員した。1日で起こったストライキの中で、ニュージーランド史上最も大規模なものだったという。
「私たちを連帯させたのは、『未来の世代にとって良い祖先であること』そして『私たちのホームを守るという責任を果たすこと』というコミットメントでした」
同年、ハンドフォードさんは地方選挙に立候補し、史上最年少の18歳でカピティ海岸地区議会の議員となった。現在2期目で、戦略運営財政委員会の委員長と気候環境委員会副委員長に任命されている。
他にも、2023年に外務大臣だった現職を打ち破り、ニュージーランド史上最年少の21歳で国会議員になったハナ・ラフィティ・マイピ・クラークさんなど、若者の代弁者が政治の世界に進出し続けている。
「このような成功例は、若い人たちが持つエネルギーと視野が、政治に良い影響があるということを示しています。また、若い世代の積極的な政治参加はニュージーランドを再形成しているだけでなく、世界の力強い前例となっていると思います。日本でもYouthquakeが起きることを願っています」
日本の18歳は選挙に立候補すらできない
「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事の能條桃子さんは、「ニュージーランドではソフィーさんのように18歳で立候補できますが、日本では25歳、または30歳からしか立候補できません」と日本の現状を話した。
ハンドフォードさんは日本の現状について、「私の経験を通じて思うのは、日本で選挙に立候補する権利を若い人たちが持つことはとても重要なことだということです」とコメントした。
「私たち若い世代は未来に最大の利害関係を持っているのだから、未来を形づくるために、意見を言う資格があると思っています。今日下される決断は、これから何十年にもわたって私達の環境や経済、社会に影響を与えるものです。若い人たちが立候補できるようにすることで、私たちの視点や意見が代弁されることや差別されないということを保証しなければならないと思います」
実際にニュージーランドに若い候補者や政治家いることで、どんな影響があるのか。能條さんが聞くと、「ニュージーランドの若い世代にとってもポジティブな影響をもたらしています」とハンドフォードさん。
「一番大切なことは、年齢関係なく変化をもたらすことができると証明する力強いロールモデルがいることです。ロールモデルが見えることが、より多くの若い人たちにとって政治や社会活動に参加する刺激になり、自分たちには責任や力があると感じられるようになると思います」
「経験不足」と言われたら、どう反論した?
会場からは、「初めての選挙で一番障害となったものはなんですか?」と質問が出た。
ハンドフォードさんは、「多くの人から『あなたはどんな人生経験を持っているのか』『どんな資格を持っているのか』『一体何歳なの?』と言われました」という。
そう言われるたびに、ハンドフォードさんは次のように答えていたという。
「経験がある人を選び続けてきた結果、今現在、気候変動など全く解決されていない問題があります。実際に何かを変えたいのであれば、人々は勇気を出して、これまでとは違うものに投票する必要があります。そうしなければ、何も変わりません」
このハンドフォードさんの反論に、会場からは拍手が湧き起こった。また、自分たちに必要だったのは「自信」だったとハンドフォードさん。
「私たちは組織をちゃんと作っていたし、正しい知識を持ち、どんな政策で何を達成したいのかを正確に理解していました。だからこそ、私たちを世間知らずだと言う人がいても、それを跳ね除けることができました」
会場からは他にも、「実際に選挙活動をする中で、上の世代の反応はどうだったか?」と質問が出た。
ハンドフォードさんは上の世代の人たちを味方につけるために重要だったことは、「孫の世代のために何を残したいかを一緒に考えること」だったと説明した。
「ドアをノックして、熱狂的に、すごく楽しそうに政治の話をしたり、『あなたの声を聞きたいんです』と伝えるだけで十分でした。そうすることで私たちより上の年代の人であっても味方になってくれたし、応援してくれました」
また、ハンドフォードさんは「私たちは私たちだけで全てのことはできないときちんと理解しています」と語った。
「若い世代がエンパワメントされることもとても重要ですが、世代を超えて、私たちの政策が未来何十年にも渡って持続可能なものであることもとても大切だと考えています」
イベントに参加した一人は、「なんで18歳で投票はできるのに立候補はできないんだろうと友だちに話したら、『18歳は早すぎない?』と言われてしまいました。その時は反論できなかったけれど、今日のイベントにはヒントがたくさんありました」と話した。これからは、世代に関わらずみんなで協力していけるように上の世代とも話したい、と意気込みを語った。
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現在日本では、選挙で投票できるようになる年齢(選挙権年齢)は18歳だが、選挙で立候補できる年齢(被選挙権年齢)は衆議院で25歳、参議院で30歳だ。
この立候補年齢の引き下げを求め、現在公共訴訟を含めた「立候補年齢引き下げプロジェクト」が行われている。今回の「#未来を生きるわたしが決める」 キャンペーンもこのプロジェクトの一部で、立候補年齢の引き下げへ賛同するコメントを募集している。