6月も中旬を迎えて、雨の時期が近づいてきています。本格的な雨シーズンを前に、すでに強い雨や暴風、ゲリラ雷雨で傘が壊れてしまったという人もいるのではないでしょうか。
また、急な雨で駅の売店やコンビニエンスストアなどで購入したビニール傘が、自宅の玄関に溜まってしまったという人もいると思います。
壊れたり、使う機会がなくなった傘は、どのようにして捨てればいいのでしょうか。正しい傘の処分方法について、全国で家事代行サービスなどを展開するカジタク・サプライヤチームの上田律樹さんに伺いました。
傘は何ゴミとして捨てるのが正解?
傘は金属の骨やプラスチックの持ち手に本体(傘布)の布やビニールなど、さまざまな素材によって作られています。特に最近はゴミ収集時の決められた分別が呼び掛けられていますが、使わなくなった傘はどのように、ゴミ収集場所に出せばいいのでしょうか。
2023年4月4日〜5日にウェザーニュースで「あなたの地域で長傘は何ゴミ?」というアンケート調査を実施したところ、「燃えない(不燃)ゴミ」が過半数となるエリアが多くなりました。
一方で甲信エリアでは「分解して分別」が過半数となっています。また、近畿や四国では「粗大ゴミ」の割合が他のエリアよりも多くなるなど、地域によって分類が大きく変わっているようです。
「傘のゴミ分類は各自治体によって異なります。まずは自分が住んでいる市区町村のホームページ、あるいは電話で問い合わせて、傘がどんなゴミにあたるのかを確認してください。
パソコンやスマートフォンの検索エンジンで『〇〇市(など自分が住んでいる自治体名) 傘 ゴミ』と検索すれば、すぐに目的のページが出てきます。
そこに記載された区分に従って、指定の日にゴミ収集場所へ壊れた傘を持ち込んでください」(上田さん)
捨て方は大きく分けて3通り
傘の捨て方でもっとも一般的なのが、普通の傘、折り畳み傘、ビニール傘にかかわらず、壊れた傘をそのままの状態で『不燃ゴミ』『燃えないゴミ』として出すケースだといいます。
「この場合は、指定の収集日にゴミ収集箇所へ傘を持って行くだけで差し支えありません。ただし現在では自治体が指定し、コンビニなどで売られているビニール袋に入れて出さないといけない場合がほとんどですので、事前にチェックしておくようにしましょう」(上田さん)
たとえば千葉市では傘は「不燃ゴミ」として扱い、他の不燃ゴミと一緒に10Lまたは 20Lの不燃ゴミ指定袋に入れて何本でも排出できるとのことです。他の不燃ゴミははみ出さないように口をしばって出しますが、傘はゴミ袋からはみ出しても構わないとされ、本数にも制限はありません。
2つ目のケースは「粗大ゴミ」です。
「一部の自治体では、傘のサイズが30cmまたは50cm以上の長さであれば、不燃ゴミではなく『粗大ゴミ』として捨てるように指定されている場合もあります。
粗大ゴミを捨てる際には多くの場合、コンビニなどで指定された金額の粗大ゴミ処理券・リサイクル券を購入して傘に貼っておく必要があります。処理券を貼らないとゴミ収集場所に置いても回収されないので、忘れずに購入しておきましょう」(上田さん)
埼玉県杉戸町などでは50cm未満の傘は「不燃ゴミ」ですが、 50cm以上のものは「粗大ゴミ」(無料)となっています。
また、愛媛県松山市は長さにかかわらず、傘はすべて「粗大ゴミ」として扱っています。粗大ゴミ申込みはがきに必要事項を記入し、地区ごとに定められた申込み受付期間内に切手を貼って投函します。
受付期間終了後、収集日の約1週間前に収集日が記入された通知ハガキに添付されたシールが自宅に届き、それを束ねた傘に貼ります。申し込みは、各家庭で年間6回までと定められています。
東京都豊島区では、傘9本までは「金属・陶器・ガラスゴミ」ですが、10本以上を一度に出す場合は粗大ゴミとなるので、「粗大ゴミ受付センター」へ申し込みのうえ、10本ごとに400円の手数料が必要とされています。
また、3つ目のケースとして、「傘を分解」してから捨てないといけないと定めている自治体もあります。
「この場合は、傘の骨の金属や傘布生地の布とビニール、持ち手のプラスチックなどをバラバラにして、それぞれのパーツを自治体の分別に従って捨てる必要があります」(上田さん)
神奈川県横浜市では、「傘は、骨組と布部分・ビニール部分に分解してください」としています。
具体的には、金属製の骨組みは長さにかかわらず「小さな金属類」の収集日に袋には入れず、複数ある場合はたばねて出します。布・ビニール部分は「燃やすゴミ」ですが、外せない場合は、そのまま「小さな金属類」として出し、プラスチック製の骨組みは「燃やすゴミ」として出すことになっています。
なお、傘布が外せない場合や骨が金属製以外の傘は、50cm未満だと「一般ゴミ」ですが、50cm以上のものは「粗大ゴミ」となり、10本まで400円の戸別収集手数料が必要です。
分解して捨てる場合はどうする?
傘はどのようにして分解すればいいのでしょうか。
「安価なビニール傘は道具がなくても簡単に分解することが可能です。
まず、露先(つゆさき)という、生地の先にあるプラスチックのパーツを取り外していきます。傘によっては、露先は骨組みに差し込まれているだけなので、軽く引っ張るだけで簡単に取れます。
露先をすべて外した後は、傘の先端にある石突(いしづき)と呼ばれるプラスチックのパーツを取り外します。
作りがしっかりした傘は露先や石突が接着剤で固定されている可能性が高く、素手で解体するのは不可能なため、ペンチやニッパーを使用しなければ分解できません。
ニッパーは固定された露先を切断する際に使います。切断する箇所は、露先から3~4cmほどの骨の部分です。切断後はペンチを使って、露先に刺さっている金属を取り出します。石突はペンチで挟んで反時計回りに回しながら引っ張ってください。
なお、道具を使って傘を解体する場合は、滑り止め用のゴムが付いた軍手などをはめて、手を保護するようにしましょう。
傘の生地と骨格の分離ができたら、傘の持ち手を取り外します。接着剤で固定されているタイプの持ち手はペンチを使って外してください」(上田さん)
駅などへの寄付でリサイクルも
外出先での突然の雨で買ったビニール傘など、まだ使えるのに玄関先にたまってしまったからといって捨ててしまうのは、もったいない気もします。傘のリサイクルは可能なのでしょうか。
「有名なブランドの傘はともかく、安価なビニール傘はリサイクルショップでは買い取ってもらえない可能性がほとんどなので、傘を寄付するという手段があります。
傘を含む不要になったさまざまな品を発展途上国の人々に送る活動をしているNPO法人などがあり、寄付をすることも可能です。
また、無料の傘レンタルサービスを実施している駅では、傘の補充を定期的に行っていますので、随時寄付を受け付けている場合もあります」(上田さん)
自治体によっては、資源回収ボックスやリサイクルセンターで傘を受け付けている例もあるようです。
傘の捨て方は、自治体によって大きく異なることがわかりました。まず、お住まいの市区町村のゴミ担当部署に方法を確認し、定められた方法で捨てるように心掛けましょう。
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取材協力:アクティア株式会社(https://www.kajitaku.com/)
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