流通業やサービス業などの労働組合でつくる「UAゼンセン」は6月5日、カスタマーハラスメント(カスハラ)に関する調査結果を公表した。
カスハラとは、客からのひどい暴言や不当な要求、暴行、脅迫などの著しい迷惑行為を指す。
調査によると、直近2年以内でカスハラを受けたと回答した人は46.8%で、2020年度調査の56.7%に比べ減少している。
一方、カスハラを受けた回数を2020年度と今回で比べると、6〜10回は14.1%から20%、11〜15回が3%から5.9%、16回以上は7.8%から10.2%に増加している。
具体的にどのようなカスハラが多いのか。調査によると、「暴言(39.8%)」「威嚇・脅迫(14.7%)」「何回も同じ内容を繰り返すクレーム(13.8%)」が上位だった。
また、2020年と比べ増加したのは、「長時間の拘束(11.1%)」「セクハラ被害(3.7%)」「SNS・インターネット上での誹謗中傷(0.8%)」だった。
調査では、下記のような事例が挙げられた。
・セルフレジで会計が終わっていないのに帰ろうとしたので声をかけたら、クレジットカードを投げつけられ、「何様のつもりだ」と暴言を吐かれた。
・お会計を終了した後、自分で床にペットボトルを落とし、特に汚れや破損もない状態であるのに交換を要求された。できないことを伝えると、罵詈雑言を浴びせられ、名札を見て店内で名前を叫び貶める発言をくり返された。後日来店の際は、〇〇を出せ、今日は金属バットで〇〇をぶっ叩きにきた、殺してやるなどの暴言を吐かれた。
・パチンコが出ないと言うクレーム対応で「責任者を呼べ」と言われたので「私です」と答えると「女じゃ話にならないから男を呼べ」と言われた。男性従業員が入社1週間のバイトさんしかおらず、その旨を伝えると「女には話が通じないからお前じゃダメだ。男の責任者呼んでこい。」と言われた。
カスハラをする客について調査結果を見てみると、約7割が男性。推定年齢をみると、60代が最多の29.4%だった。次いで50代(27.2%)、70代以上(19.1%)と続いた。
企業のカスハラへの対策はどうなっているのか。最も多かったのは、「特に対策はなされていない(42.2%)」だった。「マニュアルの整備(28.6%)」「専門部署の設置(23.4%)」「迷惑行為対策への教育(21%)」「被害者へのケア(9.2%)」などは若干増える程度に留まった。
また、「顧客や取引先からの著しい迷惑行為(いわゆるカスタマーハラスメント)が労災認定基準となったことは知っていますか」と聞くと、約7割が「知らなかった」と答えた。
UAゼンセンの佐藤宏太執行委員は、「本調査結果をふまえ、引き続き、組織内参議院議員や全国の組織内・準組織内地方議員と連携し、カスタマーハラスメント対策の法制化・条例化を目ざしていきたい」とコメントした。