芦原さんは亡くなる前に自身のブログで、脚本を巡って日テレ側と食い違いがあったことなどを投稿していた。
報告書では、原作者と作品についての十分な意思疎通の機会がなかったと問題点を指摘し、脚本家とは「原作者の意向は脚本家と速やかに共有し、脚本の執筆前に原作者側が望まないことについて理解を得る」べきなどと提言した。
調査報告書の内容は?
ドラマを巡っては、原作者の芦原さんが1月、制作を巡るトラブルについてSNSに投稿。ネット上で話題になった後に芦原さんは投稿を削除し、死去。自殺の可能性が高いとみられる。
特別調査チームは今年2月から5月にかけて、ドラマ制作に関わった日テレ関係者や脚本家、小学館の関係者ら計39人にヒアリング(書面を含む)を実施。また日テレ側の担当者から、脚本家や小学館側と連絡を取った際のメールやLINEのデータの提出を受けた。 公表版と記された報告書は、A4で97ページ。
芦原さんは「必ず漫画に忠実に」「原作者が脚本を執筆する可能性もある」などといった条件を、小学館を通じて示したと投稿していた。だが、日テレ側は「ドラマ化の条件」とは認識していなかったという。
この原因について調査報告書では、制作初期から日テレ側と原作者の面会が行われないなど、すりあわせが十分に行われず、ミスコミュニケーションが発生したと指摘。
未完の作品だったため、小学館側は最終話付近の制作をおもんぱかり、 2024年1月期の放送を希望したが、日本テレビは関係者のスケジュールなどを総合的に判断し、2023年10月期に決定した。
原作者の要望に関する捉え方など、両者の認識のズレは次第に拡大し、撮影のやり直しや、不信感の増大に繋がった。
芦原さんは脚本家の降板を要望し、ドラマオリジナルとなった9、10話で脚本を担当。日テレ側は原作サイドの要望を受け、8話まで担当した脚本家のクレジットを入れない決定をした。
こうした流れを受け、脚本家が SNSに思いを投稿。原作者は、脚本家の投稿による世間の反応を気にしてブログなどへの投稿を行ったとみられる、とした。
提言の内容は?
調査報告書では、日テレのドラマ制作体制について、▽企画から初回放送までの期間が6カ月では足りなかった可能性があること、▽経験の浅い若手がメインのプロデューサーを担当するにあたってより適切な配慮を行うべきだったこと、▽ドラマ班の中で過去のトラブル事例などを教訓として蓄積していく仕組みづくりが不足していたこと、などを指摘。
今後に向けての提案には、▽認識の齟齬をなくすため、制作担当者は原作者との面談を要請して意見を聞くよう試みる、▽原作者の意向は脚本家と速やかに共有し、脚本の執筆前に原作者側が望まないことについて理解を得る、▽原作にはないオリジナル部分を含む場合は、それも含めた上で最終回までの流れを構成案として撮影前に明確にする、▽遅くとも放送開始の1年前には企画決定するよう努める、などを盛り込んだ。
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