フランスで開かれた第77回カンヌ国際映画祭で、「エミリア・ペレス」に出演したセレーナ・ゴメスさん、ゾーイ・サルダナさん、アドリアナ・パズさん、そしてカーラ・ソフィア・ガスコンさんの4人が女優賞を受賞した。
ガスコンさんはスペイン出身のトランスジェンダー俳優。トランスジェンダーを公表している俳優がカンヌ映画祭の女優賞を受賞するのは初めてだ。
ジャック・オディアール監督の「エミリア・ペレス」は、メキシコの麻薬戦争やトランスジェンダーの解放をテーマにしたミュージカル映画で、ガスコンさんは性別適合手術を受けるために弁護士を探す麻薬カルテルのボスを演じている。
女優賞は通常1人に授与されるが、今回は共演する4人の俳優に贈られた。
異例の対応について、審査委員長を務めた映画監督のグレタ・ガーウィグさんは「(4人)全員が輝いていて、ひとつのユニットのように感じられました。バラバラにすれば、力を合わせてつくり上げた魔法が台無しになってしまうような気がしました」と説明している。
「エミリア・ペレス」はカンヌの上映会では10分近いスタンディングオベーションで称えられ、女優賞に加えて審査員賞を受賞した。
テレグラフによると、ガスコンさんは女優賞の受賞スピーチで、「毎日、ヘイトに苦しんでいるトランスジェンダーの皆さん。これを皆さんに捧げます」と涙ながらに語った。
「私たちはみな、より良く変わることができます。より良い人間になるためのチャンスがあるのです」
「もしあなたが私たちを苦しめてきたのなら、今こそあなたも変わる時です」
フランス24によると、ガスコンさんは1990年代にスペインのテレビ番組で俳優のキャリアをスタートさせた後にメキシコに移住し、2013年の映画「Nosotros los Nobles」などに出演してきた。
カンヌ国際映画祭の記者会見では、「私たちは、自分の望むキャリアを築くことができる普通の人です」と語っている。
「トランスであることは重要ではありません。トランスの人たちは、ただ移行するだけです。移行すればそれで終わりです。彼らはただ彼ら自身なのです」
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