2024年に還暦(60歳)となる人を対象としたPGF生命のインターネット調査で、貯蓄額の平均が前年と比べて大幅に減少していることがわかった。
還暦を迎えるのは、最初の東京オリンピックが開かれた1964(昭和39)年生まれの人たちで、総務省の統計によると国内に163万人いる。
PGF生命の調査は、この年に生まれた「還暦人」を対象に3月18日〜21日に実施。有効サンプル2000人の集計結果を5月9日に公開した。
それによると、2024年の還暦人の貯蓄額は平均2782万円で、前年(3454万円)から672万円減少した。前年までは着実に増加する傾向が見られたが、一転して大幅に減少し、6年前の2018年の水準まで落ち込んだという。
その原因についてPGF生命は、「止まらない物価上昇や、『貯蓄から投資』への流れが影響しているのかもしれない」とコメントしている。
調査では、全回答者に現段階の貯蓄金額(配偶者がいる場合は夫婦2人分)を聞いた。最も多くの回答が集まったのは「100万円未満」(28.9%)で、次いで「100〜300万円未満」(14.7%)、「500〜1000万円未満」(13.1%)の順だった。
500万円未満の合計は50.5%と半数を超え、前年の42.4%から増加した。2000万円以上の合計は24.4%で、前年の33.0%と比べて減少。「1億円以上」という人は7.0%だった。
また、59歳の時点で就労している・していた人(1553人)に、還暦以降も就労したいかを聞いたところ、働きたい人の割合は85.8%にのぼった。
60歳を過ぎてからも働きたい理由(複数回答)は、1位「働かないと生活費が不足するから」(56.1%)、2位「健康を維持したいから」(47.5%)、3位「その歳までは元気に働けると思うから」(43.6%)だった。
同様に、70歳以降も働きたいと思う人は42.7%となった。2022年は36.5%、23年は39.0%だったのが、40%を超えて調査開始以来最も高くなったという。
還暦以降の人生で不安に思うことを全回答者に聞いたところ、1位「身体能力の低下(体の病気や寝たきりなど)」(50.9%)、2位「収入の減少(60歳以降の雇用形態の変更など)」(37.6%)、3位「自分の介護」(37.3%)、4位「老後貧困・老後破産(老後の資金不安)」(34.9%)、5位「判断能力の低下(認知症等脳の病気や車の運転など)」(34.8%)だった。
前年と比較すると、TOP2は同じだったが、3位の「自分の介護」、4位の「老後貧困・老後破産(老後の資金不安)」はそれぞれ前年の4位、6位から順位を上げた。