イギリスに住む11歳の子どもが脳腫瘍と診断されるまでに3年もの年月がかかったと母親が明らかにし、怒りの声が広がっている。
BBCやアイリッシュ・ニュースなど大手メディアが相次いで報じている。
母親が最初に子どもの不調に気づいたのは2020年3月だった。BBCによると、胃腸炎や偏頭痛の薬を出された。眼鏡の度数が合っていないのかもしれないとの見方から、眼鏡を4回も変えたという。
しかし、症状は良くならなかった。具合が悪くなる頻度は数カ月に1回だったのが、毎月になり、さらに頻繁になっていった。解熱鎮痛薬パラセタモールを処方されると、病状はさらに悪化した。新たに首がこわばる症状が出たため医師に診せた時には寝違えただけと言われ、首を回すように指示されただけだった。
救急の小児科につないでもらおうとしたが、2回とも「緊急ではない」として断られたという。その後、ようやく小児科医に診てもらえることになったが、予約まで数カ月待たないといけなかった。
2023年11月になると、吐かずに過ごせる日はなくなった。ただの嘔吐ではなく、胃の内容物が遠くまで飛ぶ噴出性嘔吐が翌年1月まで毎日続いたという。
まっすぐ立てなくなり、歩くことが困難になったところで、ようやくCT検査を受けることができた。そして、3.5cmの脳腫瘍が発見された。医療センターに救急搬送され、10時間にも及ぶ腫瘍の摘出手術が行われた。腫瘍は良性だった。
正しい診断がつくまでにかかった年月は3年。医師らに診せた回数は30回にも及んだ。
母親はスカイニュースのインタビューに「かかりつけ医や救急、NHS(イギリスの国民保健サービス)などいろんなところに電話をかけました。誰に電話するのが最善なのかもよくわからなかった。(医師らは)その時点で正しいと思うことをやってくれたのでしょうが、私の子どもにとっては正しくなかったのは明らかです」と語っている。
このニュースには、別の症状で同じような経験をしたという怒りのコメントや「ばかげている」など驚きの声が上がっている。
慈善団体「ブレーン・チューマー・チャリティー」の担当者はBBCの取材に「悲しいことですが、今回のような話をよく耳にします。脳腫瘍患者にとって、診断まで時間がかかりすぎるのです」と答えている。