知らなかった! ウインナーを焼くとき「切り込み」を入れなくていいってほんと?

ウインナーを焼くときは、皮に何本か切り込みを入れるのが基本動作だと長年思い込んでいた。どうやら、そうでもなさそうだ。
ホットプレートで調理したソーセージ
DigiPub via Getty Images
ホットプレートで調理したソーセージ

春から初夏に向かう季節は、ピクニックやBBQ、運動会などで、ウインナーを食べる機会が多くなる。

そうでなくても、ウインナーは料理の強い味方。焼くだけで食べられる便利な食材として、冷蔵庫に常備している人は少なくないだろう。

筆者もその一人なのだが、先日、驚くべき情報を耳にした。

ウインナーを焼くときは、「皮に切り込みを入れなくていい」そうなのだ。
「入れなくていい」どころか、「入れない方がいい」まであるらしい。

えっそうなの? 周りに聞くと「知らなかった」という人ばかり。そこで、専門家に尋ねて真偽を確かめることにした。

大手会社に聞いた

教えてくれたのは食肉加工の大手会社の一つ、丸大食品の担当者である。

--ウインナーを焼く時、切ったり切り込みを入れたりしない方がいい理由は?

「ウインナーを切ってしまうと、かんじんの『パリッと食感』がなくなってしまうからです。また、切り込みを入れて焼くと、中の脂(あぶら)が出てしまい、うまみが逃げてしまいます」

--なるほど。でも、切り込みを入れないと中まで火が通りにくいのでは?

「ウインナーは調理済みのものを販売しており、よく焼きにしなくても食べられます」

--切り込みを入れないで焼くと、熱で中身が膨張して、皮が破裂する心配があるのでは?

「そうですね、強火で焼くと急に膨張し、破裂するおそれもあります。なので、フライパンの温度が高くなりすぎないように、油を引かず、弱火から中火で焼くといいでしょう。ときどきウインナーをころがしながら焼いてください」

パッケージ裏面を見てみると

担当者は、最後にこう付け加えた。「おすすめの焼き方は、商品パッケージの裏側に書いてありますので、見てみてください」

丸大食品の「熟成 燻製屋」
ハフポスト日本版
丸大食品の「熟成 燻製屋」

なんと。さっそくスーパーに走って、丸大食品のウインナー「熟成 燻製屋(くんせいや)」を購入。パッケージ裏面を見ると、おすすめの焼き方が3種類書いてあった。

・フライパン等に油を引かず、中火で焼き色がつくまでころがしながら焼く

・沸騰しない程度のお湯で約5分間ゆでる

・電子レンジで加熱する。3本なら500〜600Wで約20秒

たしかに「切り込みを入れる」とは書いてない。そうだったのか⋯⋯。

おすすめの方法と、切り込みを入れる方法とでは、どのような違いが出るのか。実際に調理して味見することにした。

下の写真は左から2本ずつ、①切り込みを入れ、フライパンに油を引いて焼いたもの ②切り込みを入れず、油を引かず焼いたもの ③お湯でゆでたものである。

①は自分にとってなじみ深い、いつもの方法。いい感じで皮に焼き色がつき、中身が膨張して切れ目が広がっているのもおいしそうだ。

②は油を引かなかったので、全体にさっぱりとした外観。やさしい感じの焼き色が全体についている。

③は焼き色はついていない。全体にぷっくり膨らんでいる。

いろんな方法で加熱。左から2本ずつ、切り込みを入れて油を引いて焼いたもの、切り込みを入れず油を引かないで焼いたもの、ゆでたもの
ハフポスト日本版
いろんな方法で加熱。左から2本ずつ、切り込みを入れて油を引いて焼いたもの、切り込みを入れず油を引かないで焼いたもの、ゆでたもの

いよいよ実食。切り込みを入れなかった②と③は、かじった瞬間に「パリッ」「プリッ」という音がした。この食感はいつも以上である。

どちらも十分に火が通っていた。脂やうまみも閉じ込められていて、ジューシーな味わいが楽しめた。

かといって、①も悪くない。少々ひいき目かもしれないが、見た目は①がいちばんよいと思う。包丁を入れているので、ひと手間感、手料理感が醸し出されているのだ。強めの火で焼いた結果、香ばしさもある。

食欲旺盛な家族に、食べてもらって感想を聞いた。「そうだなあ。どれもおいしいけど、自分はよく焼いた感じの①が好みかな」

このあたりは、ステーキと同じく、焼き方の好みの問題かもしれない。

弁当に入れる時は、ウインナーの片方の端から切り込みを入れて「たこさんウインナー」にすることも多い。また、入れ物のサイズ、形によっては、切らなければ収まりにくいときもあるだろう。

結局は、そのときの食べたい味のイメージや、器などの条件によって、焼き方・加熱方法を選ぶのがよさそうだ。

味わい以外にも大きな利点が

最後に、切り込みを入れず、油を引かない焼き方は、出来上がり以外にも大きな利点があることを発見した。

まな板を使わず、油汚れも少ないので、後片付けが楽だったのだ! キッチンに立つ者にとって、何にも代えがたい利点だと感じられた。ゆでる場合も、鍋一つをさっと洗えばいいので、かなり楽である。

まな板、フライパンも使わずにこんな立派なおかずが
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まな板、フライパンも使わずにこんな立派なおかずが

もう一つのおすすめの方法「電子レンジでチン」も試してみた。たったの20秒で、ほかの方法と変わらない味に。レタスをちぎり、ゆで卵を添えれば、手間のわりには立派すぎるおかずになり、後片付けも簡単。これはハマるかもしれない。

 最後に念には念を入れて、ほかの会社の商品のパッケージ裏面も確認した。

某大手の主力商品は丸大食品と同じく、「油をひかず、中火から弱火でころがしながら焼く」方法を最初に推奨。別の大手の商品は、ゆでるのが一番のおすすめになっていた。

「切り込みを入れる」方法は、どちらにも書かれていなかった。

丸大食品のウインナー「燻製屋」のおすすめの調理方法
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丸大食品のウインナー「燻製屋」のおすすめの調理方法