今、ガザ地区で「壊滅的な飢餓」が広がっている。
現地で支援を続ける国連機関が警鐘を鳴らしている。
緊急で食料支援が必要な状況の中、日本政府もガザ地区南部で食料キットを配布した。
ガザで「壊滅的な飢餓」広がる。飢えで死者も
国連は4月24日、ガザ地区での危機的な食糧難について指摘。現地で食料支援をする国連世界食糧計画(国連WFP)は「ガザの人々は飢えで命を落としている」とした。
国連WFPのジュネーブ事務所所長のジャン・カルロ・チリ氏は「食糧供給を大幅に増やすこと、そして、人道支援スタッフや物資が自由に移動でき、人々が安全に支援にアクセスできる状況が必要」だとし、以下のように述べている。
「人々は動物の飼料を食べ、物乞いをし、食べ物を買う現金を得るために持ち物を売り払うなど、全ての手段を尽くしています。飢えで命を落としている人もいます」
現在、2歳未満の子どもの30%が急性栄養失調か衰弱状態にあると推定している。
母親も食べるものがないため、乳児にも母乳があげられなくなっている。
国連児童基金(ユニセフ)は3月時点で、すでに23人の子どもたちが栄養失調や脱水症で死亡したと発表していた。
国連WFPの事務局長、シンディ・マケイン氏は5月5日放送のNBCニュースとのインタビューの中で、「本格的な飢餓が起こっている」とし、停戦と人々に安全に食料を届ける環境の確保を強く求めた。
ガザ地区では、人道支援を行う人々への攻撃が起きており、4月には食糧支援NPO「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」のスタッフ7人が殺害された。
7人は、海路で搬入された100トン以上の食料をガザ中部デイルアルバラの倉庫に届けた後、空爆を受けて亡くなった。装甲車の屋根にはWCKのロゴが描かれており「非紛争地帯」を走っていたほか、輸送経路を事前にイスラエル軍に伝えていた。
JICA、食料キット3780箱を緊急で支援
戦火に追われ、ガザの人々は南部に逃れており、国連機関の他、各国からも緊急で支援が届けられている。
日本政府も緊急人道支援を行なっており、独立行政法人国際協力機構(JICA)は食料キット3780箱を送った。
JICAによると、エジプトで調達した食料キットはエジプト赤新月社の協力を得てラファ国境を通過し、4月30日にガザ地区に到着。現在、パレスチナ赤新月社とパレスチナのNGOの協力を得てガザ地区のラファとハン・ユニスで配布を進めている。
キットには、5人家族が1週間生活するのに必要な食料が入っている。
中身は、鶏肉・豆類・フムス(ひよこ豆のペースト)・ツナ・イワシの缶詰、オリーブオイル、高エネルギービスケットやハルヴァ(練り菓子)、イチジク、アプリコット、レーズンのドライフルーツなど。
今回のJICAからの緊急支援は3回目で、初回はテントや毛布、2回目は医療用消耗品を届けていた。
2024年4月30日現在、死者は3万4500人を超え、約193万人がガザ南部に避難している。
ガザ地区の他、東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区にも人々が逃れており、日本政府は緊急のニーズに対応するため、国連児童基金(UNICEF)の2つの支援事業に対して、計約950万米ドルの資金協力を実施した。
子どもたちや家族に子どもの保護、栄養、水と衛生に関する必要不可欠なサービスが提供される。支援により、15万5000人の妊婦・授乳中の女性たちの必要不可欠な栄養サービスへのアクセスも拡大する。