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世代を超えて多くの人に愛されてきた絵本「ねずみくんのチョッキ」が2024年、誕生50周年を迎えた。
赤いチョッキを着た小さな主人公、ねずみくんと友だちがくりひろげる愛しくもせつない物語。ポプラ社刊のシリーズは巻を重ね、2024年4月時点で40作品、累計490万部を超えたという。
名作の誕生50周年を記念する特別展覧会が、5月22日から6月3日まで、松屋銀座(東京)で開かれる。
「おかあさんが あんで くれた ぼくの チョッキ ぴったり にあうでしょう」
赤いチョッキを着て、うれしそうなねずみくん。そこに、少し体の大きい友だちが現れる。
「いい チョッキだね ちょっと きせてよ」「うん」
そんなふうにストーリーが展開する「ねずみくんのチョッキ」は、作家・なかえよしを、画家・上野紀子の夫妻による共同作業で、1974年に刊行された。
鉛筆で描かれたモノクロの絵と、最小限の文章、余白を生かした美しい構図が注目を集め、翌年、講談社出版文化賞絵本賞を受賞した。
子どものころに読んだ人、大人になってから子どもに読み聞かせた人も少なくないだろう。
夫妻はともに1940年生まれで、66年に結婚した。ふたりが共作した作品は200冊以上にのぼるという。「ねずみくん」の絵本はシリーズ化され、上野が2019年に死去した後も、上野がのこした絵になかえが加筆し、新しい作品の刊行が続いている。
ポプラ社の担当者は「からだはちいさくても優しいねずみくんは、みんなの心によりそう友だちとして、世代を超えて愛されている。50年たった今でも読み継がれる名作となっており、今までもこれからも、共に歩みを進めていきたい」と語る。
2024年5月には、シリーズ41作目の「ねずみくんからのおくりもの」が刊行される。
友だちのねみちゃんへヒミツのおくりものを用意したねずみくん。そこへいたずらビムくんがやってきて⋯⋯。
特別展覧会は、「誕生50周年 ねずみくんのチョッキ展 なかえよしを・上野紀子 想像力のおくりもの」と題し、5月22日から6月3日まで、松屋銀座8階イベントスクエアで開催される。
シリーズの全作品を集め、原画やスケッチなど約200点を展示。ふたりの絵本づくりの原点である「ペラペラの世界」の原画も展示する。夫妻が追求してきた「想像すること」への取り組みを紹介するという。
入場料は一般1800円(前売り1500円)、中高生1300円(同1000円)など。展覧会の公式サイトでチケットを買える。東京での展示終了後、全国を巡回する予定。
作者のなかえよしをは、50周年に際して次のようにコメントしている。
ねずみくんの絵本も年をかさねました。
今は、明るくカラフルで派手で目立つほうが、人の目を引いていいようです。
でも、ねずみくんははずかしがりやで、気が小さいので、なるべく目立たないところのほうが心地よいようです。ですからねずみくんの絵本は、これまでずっと、絵も文字も少なくして、余白だらけのシンプルな画面です。
それでも、その小さな絵本の中を、ねずみくんは毎日幸せにかけ回っています。ねみちゃんと。