広島市で4月16日、タワーマンションの敷地内で女児が倒れているのが見つかった。誤って転落したとみられ、その後に死亡が確認された。
関係機関の実験では、高さ110センチのベランダ柵であれば、2歳の子どもでも数秒で乗り越えられることがわかっている。
温暖な気候になり、窓を開けることが増えるこの季節。子どもの転落事故は人ごとではない。改めて注意すべきポイントをまとめた。
2022年までの5年間で5歳以下70人が転落
NHKによると、16日午後6時頃、広島市中区のタワーマンション敷地内で3歳の女児が倒れているのが見つかった。女児はマンションの住民とみられ、搬送先の病院で死亡が確認された。
広島県警は現場の状況などから、マンションのベランダから転落した可能性があるとみて捜査しているという。
子どもの転落事故は相次いでおり、東京消防庁によると、管内では2018〜22年の5年間で、5歳以下の子ども70人が住宅の窓やベランダから転落し、救急搬送されている。
特に、窓を開けて過ごせる季節の5月(21人)と10月(10人)に事故が発生しており、1歳(19人)、3歳(16人)、4歳(同)の救急搬送が多い。
「網戸が外れて」「室外機をよじ登り」
実際に起きた事故は次の通り。
「子どもが窓枠に腰かけて網戸に寄りかかっていたら、網戸が外れて転落した。5メートル下のコンクリートに落ち、全身打撲と肝損傷の疑いで2日ほど入院した」(7歳)
「ソファによじ登り、窓から網戸を突き破って3メートル下の芝生に網戸ごと転落した。明らかな外傷は見られなかったものの、経過観察のため入院した」(1歳)
「保護者が1階のキッチンで夕食の支度をしていたところ、子どもが2階のベランダから転落していた。ベランダには高さ90センチの柵があったが、床から50センチの位置に飾りがあり、足をかけて登ることができた。 全身打撲などの重症で3日間入院した」(4歳)
「家族を見送るため、子どもがベランダの手すりにつかまっていたところ、前のめりになって地上に転落した」(5歳)
「マンション2階の室内で遊んでいた子どもがベランダに出て転落した。室外機によじ登った可能性がある」(2歳)
2歳でも110センチの柵を数秒で
また、東京都が2023年4月に公開した実験でも、2歳、4歳、6歳の子どもは高さ110センチの柵を数秒で乗り越えられることがわかった。4歳児は7割、6歳児はほぼ全ての子どもが乗り越えられたという。
痛ましい事故を防ぐため、政府広報オンラインは次の対策を呼びかけている。
①子どもが勝手にベランダに出ないよう、窓や網戸に補助錠を付ける
②子どもが踏み台にするような物をベランダに置かない
③室内の窓の近くにソファやベッドなどを置かない
④窓や網戸、ベランダの手すりなどに劣化がないか定期的にチェックする
⑤少しの時間でも子どもだけを家に残して外出しない
⑥子どもをベランダで遊ばせない
⑦窓枠や出窓に座ったり、窓や網戸に寄りかかったりさせない