法律上の性別が同じふたりの結婚「結婚の平等」(いわゆる同性婚)の法制化を求める動きが広がっている。
報道各社の2023年の世論調査では、過半数が法制化に賛成。公益社団法人「Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人」によると、自治体が同性カップルの関係を認める「パートナーシップ制度」の人口カバー率は4月1日時点で84.91%となった。
また3つのLGBTQ関連団体による、結婚の平等の法制化への支持を可視化するキャンペーン「Business for Marriage Equality」に賛同する企業・団体は、4月11日時点で「487」に上っている。では、結婚の平等に賛同している主要企業はどれくらいあるのか。どの業界に多いのかーー。調査結果が発表された。
結婚の平等への賛同、どの業種が多い?
「法律上の性別が同じ者同士の結婚が認められないのは憲法違反だ」として、30人以上の性的マイノリティの人々が国を訴える「結婚の平等訴訟」はこれまでの7件の判決のうち、6つの地裁、高裁が違憲・違憲状態とする判断を示している。
今回の調査は、19業種の中でそれぞれ、売上高ベースで上位10社(SPEEDA調べ)に対して実施した。その結果、結婚の平等に賛同しているの企業数は、以下の通りとなった。
・不動産、広告・情報通信サービス 各4社
・食品、医薬・バイオ 各3社
・機械・電気製品、輸送機械、消費財 各2社
・建設、素材・素材加工品、小売、金融、法人サービス 各1社
一方で、次の業界は賛同企業が1社もなかった。
・エネルギー(石油開発・販売など)
・石炭・鉱石採掘
・中間流通(商社など)
・外食・中食
・運輸サービス(鉄道・航空・船舶・物流など)
・消費者サービス(旅行・娯楽施設など)
・公共サービス(電力など)
LGBTQ当事者が働きやすい職場づくりを目指す「work with Pride」が策定する、職場でのLGBTQ+に関する取り組みを評価する指標「PRIDE指標」の認定企業(2023年)は、金融が10社、広告・情報通信サービスが9社、輸送機械、医療・バイオが7社などと続いた。
結婚の平等への賛同企業数と合わせると、業種別では広告・情報通信サービス(13 社)、金融(11社)、医薬・バイオ(10社)の順に多かった。結婚の平等に賛同しておらず、PRIDE指標も取得していない業種は、石炭・鉱石採掘と消費者サービスの2業種だった。
PRIDE指標の認定企業と同性婚への賛同企業の数に乖離がある業種は金融と、人材・印刷・警備・リースなどの法人サービスとなった。
一方で、広告・情報通信サービスを中心に、DE&Iへの取り組みが進んでいることも分かった。Business for Marriage Equalityは、「製品サービス自体のライフサイクルが短く技術革新の頻度が高いことで、製品開発やサービス提供等の場面において新しいアイデアやアプローチが求められ、多用な人材の採用・活用傾向がある業種であることが要因の一部と推測されます」と分析。
「各業界に共通する点として、LGBTQ+に関する職場環境の整備・改善に関する取り組みが進んでいる一方で、同じDE&Iの中でも同性婚への理解・賛同については取り組みが遅れていることが判明しました」としている。
政治的な課題と捉え反応に躊躇してしまう企業も一定数あるが、積極的に賛同しメッセージを発信する姿勢が求められている。
結婚の平等に賛同する企業は?
19業種における売上高ベース上位10社のうち、結婚の平等に賛同する企業は以下の通りだ。
▼広告・情報通信サービス(4社)
・ソフトバンク
・KDDI
・富士通
・電通グループ
▼不動産(4社)
・積水ハウス
・大東建託
・三菱地所
・東急不動産ホールディングス
▼食品(3社)
・日本たばこ産業
・サントリー食品インターナショナル
・明治ホールディングス
▼医薬・バイオ(3社)
・第一三共
・中外製薬
・住友ファーマ
▼機械・電気製品(2社)
・ソニーグループ
・パナソニック ホールディングス
▼輸送機械(2社)
・本田技研工業
・ブリヂストン
▼消費財(2社)
・資生堂
・ヤマハ
▼建設(1社)
・大林組
▼素材・素材加工品(1社)
・三菱ケミカルグループ
▼小売(1社)
・LINEヤフー
▼金融(1社)
・ソフトバンクグループ
▼法人サービス(1社)
・リクルートホールディングス