「食料を武器にするな」ガザで7人の支援団体スタッフ死亡。設立者がイスラエルを非難

「この無差別殺人をやめるべきだ」7人のスタッフが亡くなったワールド・セントラル・キッチンの設立者でシェフのホセ・アンドレス氏がイスラエルを非難した
(左)イスラエル軍の攻撃で亡くなった、ワールド・セントラル・キッチンのラルザウミ・フランコムさん
(左)イスラエル軍の攻撃で亡くなった、ワールド・セントラル・キッチンのラルザウミ・フランコムさん
WORLD CENTRAL KITCHEN / HANDOUT

パレスチナ・ガザ地区で食糧支援NPO「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」のスタッフ7人が殺害されたことを受け、設立者でシェフのホセ・アンドレス氏がイスラエル政府を非難した。

WCKによると、7人は海路で搬入された100トン以上の食料をガザ中部デイルアルバラの倉庫に届けた後、空爆を受けて亡くなった。

7人が乗っていた装甲車の屋根にはWCKのロゴが描かれており「非紛争地帯」を走っていたほか、輸送経路を事前にイスラエル軍に伝えていたという。

亡くなった7人の国籍は、パレスチナ、オーストラリア、ポーランド、アメリカとカナダの二重国籍、イギリス(3人)で、イスラエルの同盟国も含まれている。

“These are the heroes of WCK. These 7 beautiful souls were killed by the IDF in a strike as they were returning from a full day's mission. Their smiles, laughter, and voices are forever embedded in our memories.” - Erin Gore, CEO. Read more: https://t.co/4f38RQ1l4I pic.twitter.com/neAsSzKVP5

— World Central Kitchen (@WCKitchen) April 2, 2024

犠牲者の一人でオーストラリア出身のラルザウミ・フランコムさんは、WCKが3月25日に投稿した動画で、デイルアルバラでの調理の様子を笑顔で伝えていた。

WCK’s Zomi & Chef Oli are in our new Deir al-Balah kitchen where our team is cooking thousands of portions of rice with beef & vegetable stew today. We’re expanding this space so we can increase the amount of meals we produce for families in central Gaza daily. #ChefsForThePeople pic.twitter.com/dSO7GrJSOv

— World Central Kitchen (@WCKitchen) March 25, 2024

WCKは、著名なシェフのアンドレス氏が2010年ハイチ大地震での食糧支援をきっかけに設立し、被災地や紛争地で食事を提供してきた。

アンドレス氏は、7人の死について「家族、友人、WCKファミリーのことを思い、深い悲しみに打ちひしがれている」とXにつづっている。

「(亡くなったのは)ウクライナやガザ、トルコ、モロッコ、バハマ、インドネシアでともに働いてきた人々...天使たちです。顔も、名前もない人間ではありません」

「イスラエル政府は、この無差別殺人をやめるべきだ。人道支援の制限、民間人や支援活動者の殺害、食料を武器として使うことをやめるべきです。これ以上、罪のない命が失われてはいけない。平和は、人類共通の人間性から始まる。今すぐ始める必要がある」

Today @WCKitchen lost several of our sisters and brothers in an IDF air strike in Gaza. I am heartbroken and grieving for their families and friends and our whole WCK family. These are people…angels…I served alongside in Ukraine, Gaza, Turkey, Morocco, Bahamas, Indonesia. They… https://t.co/rM3xbsiQ1Q

— Chef José Andrés 🕊️🥘🍳 (@chefjoseandres) April 1, 2024

アメリカのバイデン大統領も2日、WCKのスタッフが亡くなったことに「激しい怒りを感じ、心を痛めている」と述べ、「イスラエルは人道支援従事者を十分に保護していない」と非難した。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、攻撃について調査を行うと約束している。また、空爆について「意図的ではなく、悲劇的な出来事」としつつも「戦争で起きうることだ」と述べた

WCKはスタッフ死亡を受け、ガザでの支援活動を一時停止すると発表した。WCKと協力してガザで食糧や医療品の提供を続けてきた難民支援団体「アネラ」も、スタッフの安全が保証されるまで、ガザでの活動を一時停止することを決めた。

国連の人道支援専門家は、ガザで飢餓と栄養失調が急速に広がっていると警告している。

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