パレスチナ・ガザ地区で食糧支援NPO「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」のスタッフ7人が殺害されたことを受け、設立者でシェフのホセ・アンドレス氏がイスラエル政府を非難した。
WCKによると、7人は海路で搬入された100トン以上の食料をガザ中部デイルアルバラの倉庫に届けた後、空爆を受けて亡くなった。
7人が乗っていた装甲車の屋根にはWCKのロゴが描かれており「非紛争地帯」を走っていたほか、輸送経路を事前にイスラエル軍に伝えていたという。
亡くなった7人の国籍は、パレスチナ、オーストラリア、ポーランド、アメリカとカナダの二重国籍、イギリス(3人)で、イスラエルの同盟国も含まれている。
犠牲者の一人でオーストラリア出身のラルザウミ・フランコムさんは、WCKが3月25日に投稿した動画で、デイルアルバラでの調理の様子を笑顔で伝えていた。
WCKは、著名なシェフのアンドレス氏が2010年ハイチ大地震での食糧支援をきっかけに設立し、被災地や紛争地で食事を提供してきた。
アンドレス氏は、7人の死について「家族、友人、WCKファミリーのことを思い、深い悲しみに打ちひしがれている」とXにつづっている。
「(亡くなったのは)ウクライナやガザ、トルコ、モロッコ、バハマ、インドネシアでともに働いてきた人々...天使たちです。顔も、名前もない人間ではありません」
「イスラエル政府は、この無差別殺人をやめるべきだ。人道支援の制限、民間人や支援活動者の殺害、食料を武器として使うことをやめるべきです。これ以上、罪のない命が失われてはいけない。平和は、人類共通の人間性から始まる。今すぐ始める必要がある」
アメリカのバイデン大統領も2日、WCKのスタッフが亡くなったことに「激しい怒りを感じ、心を痛めている」と述べ、「イスラエルは人道支援従事者を十分に保護していない」と非難した。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、攻撃について調査を行うと約束している。また、空爆について「意図的ではなく、悲劇的な出来事」としつつも「戦争で起きうることだ」と述べた。
WCKはスタッフ死亡を受け、ガザでの支援活動を一時停止すると発表した。WCKと協力してガザで食糧や医療品の提供を続けてきた難民支援団体「アネラ」も、スタッフの安全が保証されるまで、ガザでの活動を一時停止することを決めた。
国連の人道支援専門家は、ガザで飢餓と栄養失調が急速に広がっていると警告している。