(この記事には、物語のネタバレを含む描写があります)
スタジオジブリの人気作品「魔女の宅急便」。13歳の魔女キキの成長物語は、世代を問わず今も多くの人に親しまれています。魅力あふれる登場キャラクターたちの中でも、キキの相棒である黒猫のジジは根強い人気を誇っています。
ジジはキキとおしゃべりをする猫でしたが、ある時から人間の言葉を話せなくなってしまいます。物語の終盤で、キキが魔女の力を取り戻した後も、ジジはやはり喋らずに「ニャー」と鳴いていました。
「なぜジジは言葉を話さないままなの?」と、疑問に思っている人も多いかもしれません。ラストシーンに描かれたジジの描写は、何を暗示しているのでしょうか?
金曜ロードショーは公式Xで、このシーンを巡るスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーの見解を紹介しました。
どんなシーンだった?
新天地で知り合った白い猫との時間を優先するようになったジジに、キキは「いくら良い人ができたからって、食事の時間は守ってほしいわ。ちっとも片付きやしない」と文句を言います。
ジジが「ニャー」と鳴くと、キキは「何よ、猫みたいな声出して」と返します。
それでもジジが「ニャー」と鳴いたため、キキはジジの言葉がわからなくなってしまった自身の異変に気づきます。ほうきにまたがってもうまく飛べず、魔法の力が弱くなっていることに気づきます。
落ち込んでいたキキですが、飛行船の事故に巻き込まれた友人のトンボを助けに駆けつけます。近くにいたおじいさんから借りたデッキブラシを使い、キキはトンボを救出したい一心で空を飛びました。
見事トンボを助けることができたキキは、大歓声の中でインタビューを受けていました。その時ジジがキキの肩に上り、「ニャーオ」と鳴きます。キキはそんなジジに頬を寄せました。
「魔女の力が弱くなったから」ではない
キキが再び空を飛べるようになったのに、なぜジジは喋らないままなのでしょうか。
金曜ロードショーの公式Xアカウントはこのシーンについて、「実はキキの魔女の力が弱くなってしまったからではなく、キキが新たな一歩を踏み出したからこそ、ジジが『ただの猫』に戻ったという事なんです」と、背景を解説しています。
金曜ロードショー公式は続けて、ラストシーンを巡る鈴木敏夫プロデューサーのコメントを次のように紹介しました。
「(ジジは)ただのペットじゃなくて、もうひとりの自分なんですね。だからジジとの会話っていうのは、自分との対話なんです。ラストでジジとしゃべれなくなるというのは、分身がもういらなくなった、コリコの町でちゃんとやっていけるようになりました、という意味を持っているわけです」
ラストでキキがジジと喋ることができないままの理由。それは、キキが成長したことの証と言えるようです。
こうした背景を知った上でラストシーンをもう一度観ると、少し違った印象に感じられるかもしれませんね。