ネコの写真を提供するなら、借りた本の弁償代はいりませんーー。
そんなユニークな取り組みを行うアメリカの公共図書館が話題を呼んでいる。
「大丈夫、責めたりしない。ネコの写真を見せてくれるだけでいいんだ」
職員に「ネコ派」が多いというマサチューセッツ州のウースター公共図書館は、3月をネコ月間に設定した。通常、図書館の資料を紛失・破損した場合は手数料がかかるというが、「ネコの写真を見せてくれるなら、料金は免除します」と公式サイトなどで発表。紛失などで弁償金が発生すると図書館から足が遠のく人がいるといい、利用者を減らさないために考えた。
図書館は「どんなネコでも私たちに見せてほしい」として、写真だけではなく、イラストや雑誌の切り抜きも受け付けた。ネコじゃなくとも、犬やアライグマ、シャチ、カピバラなど、その他の動物でも良いとのことだ。
図書館で責任者を務めるジェイソン・ホーマーさんは、New York Timesの取材に対し、3月に入ってからの最初の5日間だけで、猫の写真などを提供して再び図書館で本を借りることができるようになった利用者は400人近くに上っていると明かした。
ホーマーさんはこのプロジェクトについて、「大丈夫、責めたりしない。ネコの写真を見せてくれるだけでいいんだ」と説明する。
利用者の中には子どもも多かった。ある7歳の子どもはネコを飼っていなかったが、図書館職員がスケッチのためのクレヨンと紙を提供すると、ネコを描き上げ再び図書カードを利用できるようになった。
ホーマーさんは、地元テレビ局WBURとのインタビューで、「残念ながら、世界的パンデミックによって、多くの人々が家を追われたり生活に支障をきたしたりして、その中で多くの物を失ってしまった」と話し、そうした人々にも図書館に帰ってきてほしいと考えたという。これまでも、寄付活動によって罰金を免除する施策なども行なってきた。
なお、免除にもルールがあり、たとえば過去に5冊以上の本を返却しなかった人に対しては、猫の写真を受け入れるかどうかは検討するとのことだ。
反響は大きかった。図書館には「ネコの壁」があり、一面にネコの写真やイラストが飾られている。