3月15日に開かれた参院予算委員会で、結婚の平等(法律上同性カップルの婚姻)について聞かれた岸田文雄首相が、「憲法上想定されていない」という政府見解を示した。
その中で札幌高裁は、婚姻の自由を定める憲法24条1項について「異性間と同じ程度に、同性間の婚姻も保障している」と判断。憲法24条2項、14条1項目にも違反するとした。
15日の参院予算委員会では、石川大我議員(立憲民主党)が判決に触れて「世界では36カ国で結婚の平等が実現されており、日本でも変えるべきなのでは」と岸田首相に質問した。
これに対し、岸田首相は「当事者双方の性別が同一である婚姻の成立を認めることは憲法上想定されていないというのが従来からの政府見解」と回答。
「政府としては、少なくとも同性婚に関する規定を設けないことが憲法に違反するものではないと考えている」との見解を示した。
また、14日の東京地裁と札幌高裁の判決については「確定前であり、他の裁判所で継続している同種の訴訟の判断も注視したい」とした。
石川議員は、盛山正仁文部科学相にも「結婚の平等は子どもたちへの希望になるものであり、賛同するか」と尋ねた。
盛山文部科学相は「性的マイノリティの方々をはじめ、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、すべての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指した取り組みを進めることが重要だと考えている」と回答。
2023年に成立した「LGBT理解増進法」を踏まえて、「文部科学省としても、学校現場等で適切な対応が取られるよう、引き続き取り組みの充実を図る」と述べるにとどまり、結婚の平等実現についての直接的な言及はなかった。
結婚の平等を実現するには、法律上のカップルが結婚できるようにするための法律を、国会で作る必要がある。
一連の裁判ではこれまで7件の判決のうち6件で違憲判断が言い渡された。
14日の東京地裁判決では、法律上の同性カップルが婚姻できるための法制度を作ることを国会に「強く期待している」とも言及されている。