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ある美容インフルエンサーが、この1年間で行ったすべての美容施術について明かした動画が話題となっている。
美容クリニックで看護師として働く30歳のインフルエンサー、ミランダ・ウィルソンさんは動画で、2023年に:
・ボトックス
・フェイスラインをシャープにするエラボトックス
・上唇をふっくら見せるリップフリップ
・肩のスリミングと緊張緩和のための僧帽筋ボトックス(バービーボトックスとも呼ばれる)
・唇の形を維持するためのボルベラ注射
・顔のボリュームを回復するためのスカルプトラ注射
・自分の血液を採取して血漿を抽出し、それをマイクロニードルで顔に注入するヴァンパイア・フェイシャル
・小じわやたるみを改善するCO2レーザー
を受けたという。施術によっては1年に数回受けたと言い、合計で約9250ドル(約140万円)を美容施術に費やしたことになる。
この動画は100万回以上視聴され、さまざまな意見が寄せられた。ミランダさんの正直な告白を称賛する人もいれば、美容を維持するのための終わりなき美容施術を「信じられないほど悲しすぎる」と述べる人もいた。
インフルエンサーがプチ整形を公表する理由
こうした高額な美容施術について公表しているのはミランダさんだけではない。
最近では、インフルエンサーらだけでなく、カイリー・ジェナーさんやアリアナ・グランデさんなどのセレブたちも、リップフィラーやボトックスについて告白した。
施術を受けたことを認めるセレブはまだ比較的少数派だ。しかし、これまで長い間、セレブが美容整形や施術を否定したり、若々しい容姿は自分が宣伝するスキンケアブランド製品を使ったり、水をたくさん飲んでいるおかげだと話してきたことを考えれば、歓迎すべき傾向だ。
TikTokで7万8000人以上のフォロワーを持つインフルエンサーのドーンさんも、自分の美容施術について率直に話している。ドーンさんもミランダさん同様、美容クリニックで勤務している。
施術についての動画を作成したのは「美容施術についての情報を他の人にも共有したかった」からだと語り、フォロワーに正直であることは、自身の完璧な肌やピンと張った顎のラインが、「奇跡」の美容商品のおかげだと装うより倫理的だと感じたからだという。
「SNSを見ていると、完璧なインフルエンサーの魅力に囚われがち。でも、私たちが目にするのは良い部分だけで、全体像ではないってことを覚えてほいてほしい」と話す。
美容施術を受けている多くのインフルエンサーは、高額な契約を継続するため、施術については口を閉ざす。何万円もするリップフィラーを受けた翌日に、唇を『ふっくらさせる』数千円のリップグロスを売ろうとすれば、今後のブランドやスポンサーとの契約を失う可能性もある。
しかしドーンさんは、ほとんどのインフルエンサーやセレブが自分が行った施術について正直に話さないのは、周りから批判の目で見られることを心配しているからだと考えている。
「だからこそ、私は自分の経験をオープンに共有できる安全な場所を作りたかったんです。このトピックに光を当て、美を追求する人たちに、十分な情報を得た上で決断するようになってほしいのです」(もちろん、美容クリニックで働くドーンさんにとって、このような施術を広めることはビジネス上でもプラスになる)
ロサンゼルスに住む30歳のコンテンツクリエイター、サブリナさんは、30歳になる前に受けた施術を紹介する2本の動画を投稿し、お金を費やす価値のあった施術、なかった施術について語った。
サブリナさんは自身の動画をTikTokの「デ・インフルエンシング」トレンドの一環だと感じている。「デ・インフレンシング」とは、インフルエンサーたちがネット上で「買うべきではないもの」を伝えることだ。
「施術の中には高額なものもあリます。せっかく稼いだお金を無駄にしてほしくない」とサブリナさんは話す。
「何かを宣伝してるわけではありません。ただ美容施術のリアルを語っているだけ。他の女性たちにも情報をシェアしてあげたいから」
Instagramで目にするものは誇張され過ぎている
1年間で約9万円を美容施術に費やしたフィラデルフィアに住む27歳のペニーさんは、動画でこれまで受けた施術を10段階で評価し紹介している。
ペニーさんはこの動画を通じて「今私たちがInstagramで目にするものは誇張されている、ということを若い女性たちに伝えたい」と話す。
「もし何か施術を受けるなら、私が施術を受けたことを知らない女の子に、自分と私を比較したり、私を見て『あの子みたいには絶対なれない』と思ってほしくないと思った」と続ける。
「私が話すことは、私が受けた施術にのみ関係する、という注意書きをつけたいと思ってます。誰もが美しいし、誰も整形なんて必要ないんです」
また、美容整形や施術を受ける人は「フェイク」だとか「自分に自信がない」という考えを払拭したいという。
「人生は1つの体で、1度しか生きられない。その1度きりの人生を最高の気分で生きるために、何かをしたいのであれば、他人にどうこう言われずにやっていいはずです」
こうした動画は、ボディイメージに悩む人々の助けになるのか?
これらの動画はポジティブなもので、現実に対する考えをリセットし、Instagramで見るモデルに惑わされず、インフルエンサーたちは自然のままでも美しい一方、高額な治療の恩恵も受けているということも教えてくれる。
美容整形や施術前後を比べるセレブの写真が人気なのには理由がある。写真のキャプションには「あなたはブスじゃない。お金がないだけ」や、「生まれつきかもしれない、メイクかもしれない」と書かれるなど、人々はネットで目にする完璧な容姿は遺伝だけではない、という安心感を求めているのだ。
一方、インフルエンサーたちがこうした美容施術を常態化させ、すでに高い美の基準をさらに上げているという見方もある。今や美容施術のクーポン券まで存在する。
非侵襲的な施術(手術を必要としないプチ整形など)施術が「社会的に受け入れられつつある」中、形成外科医はこうした施術の需要は過去最高に達しており、リップフィラーやボトックスのような非外科的施術は2023年だけでもアメリカ国内で2620万件増加したという。
ラトガース大学カムデン校・健康科学センター長で「The Body Image Book for Girls」の著者であるシャーロット・H・マーキー氏は、「このトレンドには明らかに2つの側面があります」と話す。
1つは「ネットで目にする美しさが自然なものではなく、施術の結果であると知るために役立つ」と話す。
そしてもう1つは、「自分の体は『プロジェクト』であり、終わりなき『修正リスト』があるように感じる可能性がある」と続ける。
こうした施術は、例えば豊胸手術や脂肪吸引よりもリーズナブルな価格であるため、より人を引きつけるのだ。
摂食障害の治療を専門とするセラピストであるジェス・スプレングル氏は、完璧なルックスを見ても、インフルエンサーがそれを実現するための施術を公開すればもう謎ではなくなるため、「ある意味フェア」だと説明する。また、写真ではフィルターを使っている可能性があることも指摘した。
それでもスプレングル氏は、特に若い世代のために、美容施術の常態化へと飛躍するのではなく、若さと完璧な美しさへの執着について深く考えてほしいと話す。
「正直な告白は前向きな一歩だと思いますが、まだこの先は長いでしょう」
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。