「転職すればもっと良い条件で働けるのではないか」
「異動ができないから転職しようと思ってる」
そんな思いで転職に踏み出そうと考えている人は多いのではないだろうか。しかし、気をつけた方がいい可能性もある。
エン・ジャパンが運営するミドル世代のための転職サイト『ミドルの転職』の転職コンサルタント126人に「転職すべき人・現職にとどまるべき人」についてアンケート調査をしました。
「面談を行なった方のうち、転職せずに現職にとどまるべきと思う方は全体の何割ほどですか」という質問に、「3割以上」と回答したのは54%。つまり、半数以上のコンサルタントが「少なくとも面談した3人に1人は現職にとどまるべき人」だと思ったということです。
コンサルタントが現職にとどまるべきだと思った1番の理由は、「本人の希望と、転職市場での市場価値にギャップがある」から。
例えばこんな事例が紹介されています。
・現職での給与条件、労働環境に不満があり、転職することによって、良い条件で働けると誤認していた
この事例に対し、転職コンサルタントは「転職市場を見たとき、ご本人の給与、労働環境が悪いとは言えない。現場の業務を突き詰めれば、取り巻く環境を変えられるのでは」とアドバイスしたそうです。
続いて2番目に多かった理由は、「現職企業の待遇が良く、現職以上の待遇での転職が難しい」ということ。例えばこんなケース。
・現職の方針や体制に不満があって転職を希望しており、なおかつ年収、休日、福利厚生の待遇が好条件な仕事を求めている
転職コンサルタントはこの事例に対して、「キャリアを生かせる求人案件はあっても、年収・年間休日・福利厚生を維持することは難しい」とコメントした上で、「転職にあたっての優先順位を整理し、妥協点を見つけてみては?」とアドバイスしています。
3番目に多かった現職にとどまるべきと思った理由は、「キャリアアップできない理由が会社にあると思っている」こと。
例えば「現職にて異動ができない」ことを理由に転職を考えているケース。この事例の場合、新しい職種へのチャレンジを希望していたり、経験が少ない分野への転職であったりするにもかかわらず、現職と同等以上の待遇を求めていたようです。
これに対して、転職コンサルタントは「転職するよりも、社内異動のほうが容易なことがほとんど」とコメント。「現職で異動をするために実際に動いたかを確認しました。仮に転職をする場合は、処遇面が下がることはほぼ間違いないので、それでも新しい環境を希望するのであれば、サポートする」と伝えたそうです。
逆に転職すべき理由TOP3は「今後やりたいことと、転職理由に整合性がある」、「現職企業では、本人の希望が絶対に叶わない」、「現職企業に将来性がない」でした。
どうすれば転職すべきかどうか見極められるのでしょうか?その方法として、「解決したい課題を整理し、解決方法を検討する」「キャリアの棚卸しを行ない、キャリアプランを見直す」などが挙げられました。
最後に、転職キャリアコンサルタントからのアドバイスを紹介します。
「まずは転職するか否かで答えを出そうとしなくてよいです。少しでも別の機会、可能性に興味があるのであれば、情報収集を兼ねて転職活動をしてみるのはありだと思います。転職活動で、転職するか否か、するとしたらどこがよいか、走りながら考えた方が情報精度は高まると思います」
「なぜ転職に対して悩んでいるのか、転職したとき、しないときのメリット/デメリットや現職に残った場合、転職した場合の10年後の自分を想像し書き出してみることをおすすめします」