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自力で立つことができないほどにまで太ったゴールデンレトリバーが、驚くべき変身を遂げている。飼い主によって安楽死させられる寸前で助け出され、生きる喜びを取り戻そうとしているシニア犬の姿が人々の心を打っている。
フラニーを保護した団体や引き取って世話をしている獣医学生の取り組みを、ワシントンポストやABCの報道番組「グッド・モーニング・アメリカ」(GMA)など大手メディアが取り上げている。
注目を集めているのは、アメリカ・カリフォルニア州に住む8歳のフラニーだ。
ワシントンポストによると、フラニーはこの8年ずっと屋外で飼われ、飼い主の残飯を食事として与えられてきた。元気が失せ、脱毛や肥満などの症状が出る甲状腺機能低下症にもかかっていたが、獣医にかかることはなかった。
フラニーの窮状を訴える情報を察知したロサンゼルスに拠点を置く犬の保護団体「Rover’s Retreat」が2023年12月、飼い主によって安楽死させられそうになっていたフラニーを保護した。
同団体は12月8日、Instagramに救助したばかりのフラニーの動画とともに「健康状態はひどいものです。歩くことも、立つことさえもできません。身体的にも精神的にもボロボロです。朝一番で獣医に診てもらいますが、回復のためには保護して一緒に暮らしてくれる人が今すぐ必要です」と投稿した。
この投稿を見て手を挙げたのが、カリフォルニア大学デービス校の獣医学部に通うアニカ・ブラムさんだった。
減量への道のり
救助されたとき、フラニーの体重は56キロに達していた。メスのゴールデンレトリバーの体重は一般的に24〜29キロが望ましいとされている。フラニーは標準体重をはるかに上回っていた。
深刻な肥満状態にあったフラニーを引き取ったブラムさんには、改善に導いていく自信があった。
ブラムさんは以前、同じように肥満だったゴールデンレトリバーを引き取ったことがある。70キロ超あった体重を5年間かけて約40キロ落とすのに成功した経験がある。保護団体がSNSに投稿したフラニーの動画を見たのは、この犬を亡くて1年も経たないときのことだった。
ブラムさんは甲状腺機能低下症の治療と同時に、食事制限や自力で立つことができなくなってしまったフラニーの歩行訓練も始めた。ひっくり返したプラスチック容器の上にフラニーを跨がせ、それを支えにして、立つことを思い出させる訓練もした。
フラニーは3週間ほどで助けなしで立てるようになり、3カ月で体重は14キロ減った。体重が落ちて動けるようになってきたため、さらに運動量を増やしているところだという。
GMAが公開した動画には、テニスボールを追いかけてうれしそうに走るフラニーの姿が映っている。ブラムさんは同番組の取材に「フラニーが自分の人生を取り戻したことをとても誇りに思い、幸せな気持ちになります」と語っている。