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ちょっとした言葉を攻撃と感じ、相手からの指摘や“なんでもない言葉”でも泣いてしまう━━。
発達障害の当事者である「春野あめ」さん(@AmeHaruno)が投稿した、自身の経験や気づきを描いたマンガに反響が広がっています。
2024年2月に「発達障害が理解されにくいワケを自分で考えてみた」(竹書房)を出版した春野さん。「発達障害を持つ多くの方に生じる“二次障害”についてです」というコメントを添え、コミックスに収録された「ちょっとした言葉を攻撃と感じる」というエピソードをXで公開しました。
■「私自身を非難されたわけじゃないのに…」
「私自身を非難されたわけじゃないのに、なぜこんな極端な考えになってしまうのか」
それには、発達障害の特性の1つである「白黒思考」があるのではないかと、春野さんはいいます。白黒思考とは、「白か黒か」「0か100か」というようにどちらかの選択肢しかない極端な考え方のことです。
さらに、「発達障害が原因での幼い頃から積み重なってきた孤独がまだ影響していたんだと思います」と振り返り、「昔から漠然とした不安感・さみしさ・違和感みたいなものがあった」とマンガの中で説明しています。
そうしたモヤモヤが一体何なのかわからず、ストレスと緊張状態が続いた結果、誰かに当たってしまったり、自分を責めてしまったり、精神面だけでなく体調面にも影響が出てきたといいます。
これが発達障害における「二次障害」と呼ばれるものだといいます。
春野さんの場合は、25歳の時に発達障害と診断されてから、特性を理解して、それによる二次障害と向き合える状態になるまで、8年かかったそう。
二次障害に関しては完全になくなったわけではなく、気持ちが不安定になった時は、起こった出来事やその時の感情を書き出すといった対策をしているそうです。そうすることで、「過去の気持ちに引っぱられにくくなって問題を整理しやすい!」といいます。
一方で、当事者ではない周りの人も、自分の言葉が相手を悲しませないか、怒らせないかなど、どうやって関わればいいのか分からないことがあります。
春野さんは、そんな時は「手を貸してあげてください」「当事者が一体何ができて何ができないのか、一緒に考えてくれると嬉しいです」といいます。
特性とうまく向き合うためには「つながりは浅くてもいいと思うようにして、広く作ることに目をむけてもいいのではないでしょうか」とアドバイスし、相談窓口とつながることの大切さも伝えています。
「普段から“安心を増やす”ことを意識すればいいんじゃないかな」
ハフポスト日本版は、春野さんに発達障害との向き合い方、周りの人がどのようにして関われば良いのかなどを聞きました。
状況や、その時の精神状態、環境によっても変わってくるので一概に言えませんが、マンガに登場した当時の自分であれば、立ち直るまでに1、2日はかかっていました。といっても解決できた上で回復しているわけではないので、似た場面で、同じようなことを繰り返すような不安定な状態でした。
そもそも、当事者は特性の影響でネガティブな体験を重ねやすく、それによって物事をネガティブに捉えやすくなっているという背景があります。さらに、相手の言葉の真意がわからず独自の解釈をしてしまう、などのいくつもの特性が絡み合って結果的にちょっとした言葉に過剰に反応してしまう状態になりやすい、ということになります。当事者になにかを指摘する際には、言わなくてもわかるだろう、という部分を省かない、なるべく否定的な言葉を使わないというのが、誤解をさせないポイントになるのかなと思います。といっても、これも難しい問題です…相手は当事者のネガティブ体験をすべて知っているわけでもないし、先手先手にまわるのもかなりの労力が必要です。なので、表面的な工夫も大切と思いますが、お互いが普段からしっかりコミュニケーションをとって、信頼関係を築いておくことも、大切なのだと思います。これは、私の今後の課題でもあります。
━━こちらのマンガには1万以上の「いいね」が寄せられていますが、どのように感じていますか?
「いいね」の数ほど、同じ悩みで苦しんできた、進行形で苦しんでいる方がいるのではと思うと心配になりましたが、いいねは共感でもあるので、素直に嬉しかったです。ただ「いいね」以外にもいろんな反応があって、その中にはもちろん厳しい意見をだしている方もいました。それでも、発達障害について立ち止まって考えてくれたということが嬉しかったです。マンガを読んでくださったたくさんの方々、ありがとうございました。