英医学誌ランセットは2月29日、世界の肥満人口が10億人と突破したという調査・研究結果を発表した。日本の傾向については「女性だけ『低体重(痩せ)』の割合が比較的高い」と指摘している。
この調査・研究は、世界200カ国・地域において、「低体重(痩せ)」「肥満」と分類される大人と子供それぞれの人数・傾向が、1990年と2022年でどう変化していったのかを調べている。
身長と体重を測る計3663の集団調査(計延べ2億人が参加)のデータなどを活用。身長に対する適正体重や肥満度を表すBMI指数で、大人(20歳以上)は18.5以下を「低体重」、30以上を「肥満」と分類し、子供もそれに準ずるような指標を適用した。
その結果、2022年の世界の肥満人口が10億人を超えたと伝えている。内訳は成人8億7800万人(男性5億400万人/女性3億7400万人)、子供が1億5930万人(男性9420万人、女性6510万人)。
特に子供や未成年の肥満の増加が著しく、人数・割合が4、5倍増えているという。
日本は女性だけ「低体重(痩せ)」が多い
調査は日本についても言及。主に女性の「低体重(痩せ)」の傾向を紹介・指摘している。
2022年までの約30年で、世界全体の「低体重(痩せ)」の大人の割合は、女性が14.5%から7.0%、男性は13.7%から6.2%とそれぞれ半数以下に減少しているという。
そうした傾向下で、調査は「低体重(痩せ)」の大人の人数が多い国として「インド、中国、日本、インドネシア、エチオピア、バングラデシュ」をあげている。
加えて「エチオピアとバングラデシュ、インド、日本における『低体重(痩せ)』の人の割合(年齢を標準化)は11%〜26%で、どの国もトップ25にランクインする」と紹介。
どちらのケースも、名前があがった国のうち、日本だけが「女性のみ」と注釈がついている。
まとめると、日本は女性のみが、「低体重(痩せ)」の大人の人数が多く、そうした人の割合(年齢を標準化)が高い、ということになる。
これがどんなことを意味するのか。
調査では続けて、次のように書かれている。
「日本は(上にあげた)国のグループで唯一収入水準が高い国だが、女性の『低体重(痩せ)』の割合が比較的高い(男性は当てはまらない)のは、本人が知覚する体重が、実際の体重や、『望ましいとされる体重』よりも重いことが原因だと考えられる」
調査はさらに「疫学的に関連のある『低体重(痩せ)』の増加(2%ポイント以上、かつ事後確率が少なくとも0.80)が見られた唯一のグループは日本と韓国の女性」とも指摘している。100を超える国で『低体重(痩せ)』が減少し、その他は減少も増加もしなかった国が大半だった。
またこの調査結果を報じたBBCは、「世界の『低体重(痩せ)』のレベル」として、成人男女で該当する人の割合が高い国それぞれ10並べている。
日本は、女性のみでランクインし、割合は16%という。あげられた国は次のとおり。
エリトリア(33%)、東ティモール(23%)、エチオピア(22%)、ブルンジ(21%)、マダガスカル(20%)、南スーダン(20%)、ニジェール(19%)、中央アフリカ(19%)、日本(16%)、チャド(16%)
日本以外は、貧困率が世界平均を大きく上回る国となっている。