「管理職になりたいと感じた」女性は8割超。現場の声から見えてきた、ジェンダーギャップ解消に有効な施策とは?

初めて管理職を打診されたとき、「管理職になりたいと感じた」女性は8割超。だが、実際に挑戦するまでにハードルがいくつもあるようだ。
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Yagi-Studio via Getty Images

2023年3月期から、男女の賃金格差や女性管理職比率などの情報開示が義務付けられた。だが日本生産性本部の調査によると、東証プライム上場企業のうち、管理職の女性比率が5%未満の企業が48.2%を占めるという。

2024年1月には開示義務化後初めて厚生労働省が調査結果を公表し、女性の平均賃金は男性の69.5%にとどまることが明らかになった。厚労省の雇用機会均等課は「管理職に占める女性の割合の低さや、男性に比べ女性は勤続年数が短い傾向にあることが賃金の差異の背景にあると考えられる」と指摘した。

どうすれば女性の管理職比率が増え、男女の賃金格差が是正されるのか。

女性の多様な働き方を支援する人材サービス「Waris」は2月22日、女性管理職に関する調査結果を発表。現場の声から見えてきた、ジェンダーギャップ解消に有効な施策とは?

女性が管理職になる「ハードル」は?

調査は、同社サービスに登録する管理職経験がある女性260人が回答。

「初めて管理職を打診されたとき管理職になりたいと感じたか」と聞かれると、「管理職になりたい」と答えた人は51.9%、「どちらかというと管理職になりたい」答えた人は28.5%と、合わせて8割超が「管理職になりたいと感じた」という。

初めて管理職を打診されたとき、管理職になりたいと感じたか(株式会社Waris「女性管理職に関する調査」)
初めて管理職を打診されたとき、管理職になりたいと感じたか(株式会社Waris「女性管理職に関する調査」)
株式会社Waris

管理職になりたいと感じた理由については、「経験やスキルを磨きたいから(61.7%)」、「裁量を広げたいから(60.8%)」、「より高い給与や報酬を得るため(50.7%)」などが上位に挙げられた。

では、管理職に挑戦する際、ハードルになったことは何なのか。アンケートによると、「ワークライフバランスへの懸念(39.6%)」、「精神的負担が大きいこと(34.2%)」、「ジェンダーバイアスに基づく評価や昇進の妨げ(23.1%)」などがハードルになっていることが見えてきた。

管理職への挑戦でハードルとなったこと(株式会社Waris「女性管理職に関する調査」)
管理職への挑戦でハードルとなったこと(株式会社Waris「女性管理職に関する調査」)
株式会社Waris

実際に管理職になった際に苦労した点や課題を聞くと「男性中心のコミュニケーションや組織風土(39.6%)」「精神的なプレッシャーが大きい(37.3%)」「ワークライフバランスが取りづらい(長時間労働である)(33.8%)」という結果に。

挑戦する際にハードルだと感じたことが、実際に苦労するポイントになっていることがうかがえる。

女性管理職を増やすために必要なことは?

女性管理職を増やすために有効だと考えることについて聞くと、「柔軟な働き方の実現(フレックスタイム・リモートワークなど)(67.3%)」、「『家事・育児は女性がするもの』といった社会の性役割意識がなくなる(緩和する)こと(48.1%)」、「子育て・介護などのライフと仕事の両立支援(育児・介護休業、時短勤務など)(47.3%)」などが挙げられた。

女性管理職を増やすために有効だと考えること(株式会社Waris「女性管理職に関する調査」)
女性管理職を増やすために有効だと考えること(株式会社Waris「女性管理職に関する調査」)
株式会社Waris

アンケートには管理職の経験も踏まえ、以下のような問題提起のコメントも寄せられた。

「女性がよりよく働くには、日本社会の性別役割分業意識の改善が必要だと思います」(50代/執行役員〈過去経験者含む〉)

「仕事でチャンスがあっても、旦那の会社では調整できないという状況があり、結局妻側が調整するしかありません。もっと女性が社会進出するには、男性側の会社からの理解が必要」(30代/部長〈過去経験者含む〉)

「子供が小学生となり、保育園時代よりも丁寧に向き合う時間が必要だと痛感する出来事があり、退職しました。後悔はありませんが、この先管理職としてまた復帰できるのかと不安は大きいです」(40代/課長〈過去経験者含む〉)

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