親の不安に付け込む「不登校ビジネス」に要注意。巻き込まれないための心得

親の不安をあおるだけあおり、「短期間で不登校を解決する」などの謳い文句で、高額な料金を請求される場合もあります。
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d76 masahiro ikeda via Getty Images

不登校の子どもを持つ親は日々、さまざまな不安と向き合っています。そんなとき、親は「不登校ビジネス」に巻き込まれないよう気をつけなければいけません。

親の不安をあおるだけあおり、「短期間で不登校を解決する」などの謳い文句で、高額な料金を請求される場合もあります。それらのなかには、効果が少ないばかりでなく、親子関係において逆効果になるものもあります。

「不登校ビジネス」に巻き込まれないために気をつけるべき事柄について考えます。

文部科学省の調査によると、不登校児童生徒数は29万9048人であり、全児童生徒に占める割合は3・2%と、過去最多となっています

不登校の子どもが増え続けるなか、親として気をつけなければいけないことがあります。それは、親の不安に付け込んでくる「不登校ビジネス」です。

わが子の不登校で悩む親の心のスキマを狙い、最終的に高額な教材を買わせようとしてくるなど、注意が必要です。こうした「不登校ビジネス」にかかわらないために必要なことについて今回は考えます。

不登校ビジネス 見極め方は?

「不登校ビジネス」か否かの見極め方はあるのかという話ですが、大事なポイントが1つあります。

それは「不安をあおってくる」ということです。「早期に対応しないと、将来ひきこもりになります」「ただ見守るだけではダメです」などと親の不安を掻き立ててきます。

そのうえで、「不登校は治せます」「短期間で不登校を解決する方法を教えます」などと言葉巧みに誘導するようなところには近づいてはいけません。じつは、ここが「不登校支援」と「不登校ビジネス」の境界線です。前者は親の「不安に寄り添う」ことを大切にしており、不安をあおるような言動はしません。

不登校やひきこもりの歴史をふり返ると、1980年代には「不動塾」や「戸塚ヨットスクール」などで子どもが命を落とす事件があったほか、2000年代には「長田塾」など裁判で争うまでに至った事案があります。また近年でも、ひきこもりの自立支援を謳う、いわゆる「引き出し屋」と呼ばれる団体が大きな社会問題となっています。

そもそも、不登校は病気ではないため、治すというたぐいのものではありません。また、不登校を短期間で解決できる魔法や処方箋などというものは存在しません。そんなものがあるならば、不登校の子どもと親を苦しめるような事態がこれだけの長期間にわたって続くはずがないからです。

短期間で「解決」 注意すべき理由

なにより「不登校の解決とは何か」ということが大きな問題です。

学校へふたたび行くようになることでしょうか。いえ、そうではありません。もっとも大切なことは「子どもが笑顔と元気を取り戻すこと」です。抽象的で大雑把な表現に聞こえるかもしれませんが、笑顔と元気を取り戻した子どもは、親があれこれ言わずとも、みずから動き始めます。

また、短期間で学校復帰するということには注意が必要です。自殺問題にくわしい精神科医の松本俊彦さんが行なった調査によれば、10代や20代で自殺した不登校経験者のうち、75%が早期に学校復帰していたという結果が出ているからです。松本さんは「大人はつい『学校へ戻ることがゴール』と考えがちだが、それはあやまり。『不登校は子どもが生き延びるための戦略である』と捉えることが重要である」と指摘します。

日々変わっていく子どもの様子や進路を考える時期など、さまざまな理由から親の不安はわいてきます。ときに、わらにもすがりたくなる気持ちになる日もあるかもしれません。

そんなときこそ、まずは深呼吸です。そして、第三者に相談したくなったとき、「不登校ビジネス」に巻き込まれないようにするためには「不安をあおってくる」団体等とは距離を置き、「不安に寄り添う」ことを大切に活動している「不登校支援」団体等につながることを意識していただきたいと思います。(小熊広宣) 

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