ロシアの反政権派指導者で刑務所に収監されていたアレクセイ・ナワリヌイ氏が死亡した。同氏の死について、主要7カ国(G7)は2月17日に開いた外相会合で、ロシア当局に対して死因を完全に解明することを要求する議長声明を発表した。
G7外相会合はドイツのミュンヘンで開催され、日本からは外務審議官が代理出席した。冒頭、出席者たちはナワリヌイ氏に1分間の黙とうをささげたという。議長国はイタリアで、同国のアントニオ・タヤーニ副首相兼外相が議長を務めた。
声明はナワリヌイ氏の死去について、次のように言っている。
「G7メンバーは、正当な政治活動及び腐敗との闘いに対する不当な判決を受けたアレクセイ・ナワリヌイ氏の拘束下での死に憤りを表明した。G7メンバーは、ロシア当局に対し、彼の死因を完全に明らかにするよう要求した。G7メンバーは、ロシアに対し、政治的異議を唱える者への許容できない迫害、表現の自由の組織的抑圧及び市民的権利の不当な制限を止めるよう求めた」
ナワリヌイ氏の死去はロシア当局が16日に発表した。同氏はプーチン政権批判で頭角を現し、2020年に毒殺未遂事件で一時意識不明になった。治療を受けていたドイツから帰国後に拘束され、刑務所に収監されていた。
当初は首都モスクワに近い刑務所に収監されていたが、北極圏にある別の刑務所に移されていたという。当局の発表では「散歩後に気分が悪くなり、意識を失った。死因は調査中」としている。
ロシア当局からナワリヌイ氏の弁護団に「調査が終了し、犯罪は立証されなかった」と伝えられたことや、同氏が収監されていた北極圏の刑務所に到着した母親に、死因は「突然死だ」と告げられたこと、指示された遺体安置所には遺体がなかったことなどが報道されている。
ロシア国内では、ナワリヌイ氏の死を悼み、当局に抗議の意思を表す動きもある。これに対する当局の取り締まりも起きており、OVDインフォによると、17日までにモスクワ、サンクトペテルブルクを含む36の都市で401人が拘束されたという。