会社からオンラインで解雇を告げられた女性が、明確な理由のない解雇に抗議する場面の動画をSNSに投稿し、話題となっている。
投稿したブリタニー・ピーチさんは、アメリカの大手IT企業に勤めていた。同僚たちが次々と解雇される中、自らも人事とのオンライン会議が設定されたのを受け、カメラを回したようだ。
「これから解雇される」と最初に書かれた約9分ほどの動画には、ピーチさんと会社側のやりとりが収められている。解雇を告げてきたのは、1度も面識のない「人事の女性と、聞いたこともない『ディレクター』」の2人だったという。
「ディレクター」が、ピーチさんの業績が会社の期待値を満たしていないため解雇すると伝えると、ピーチさんは毅然とした態度で「一言いいですか」と先方を遮り、反論を開始した。
ピーチさんが入社したのは8月末で、オンラインで解雇を告げられたのは1月中旬。研修期間や大型連休も含む短い期間の中での自分の業績を列挙し、上司との面談でもいつも高い評価を得ていると述べ「私の業績が期待を満たしていないというのには納得できない」と伝えた。
加えて、直属の上司が同席せず、面識のない人たちだけに解雇を告げられたことも「おかしい」と指摘した。
解雇に関する「納得のいく説明が欲しい」「会社が人を雇い過ぎて、今になって支払う余裕がないことに気づき解雇するのであれば、デタラメな理由を言うよりそう言ってほしい」とピーチさんは何度も解雇の理由について迫ったが、会社側は、「具体的な基準や数値の説明はできない」と告げ、「後からフォローアップさせて欲しい」と伝えた。
ピーチさんは「この数カ月、この仕事に全てのエネルギーを注いできたのに、信頼していた会社から理由もなく解雇されるなんて、すごく悔しいです」と声を震わせながら訴えた。
会社側は終始、「理解できます」「気持ちや苛立ちはわかります」「あなたがこんな経験をしなくてはいけないことを申し訳なく思っています」など、ピーチさんに理解を示したものの、動画の最後まで解雇の理由が説明されることも、決定が覆ることもなかった。
1月12日にTikTokに投稿されたこの動画には、2月14日(日本時間)の時点で8000件以上のコメントが付いており、「落ち着いた態度で問題を指摘していてすごかった」「会社側はパニクってたね」「私も同じ経験をした」「自分のために闘う姿がかっこいい」など、ピーチさんに共感し称賛する声が多く見られた。
一方、動画が転載されたX(旧Twitter)では、「解雇通告を録画してTikTokに載せるなんて、こんな人は絶対雇わない」「この動画は、彼女の将来を台無しにするよ。業界は狭いし、動画はすぐ広まるからね」などの否定的な声や、「会社が短期にたくさん人を雇うと、残念ながらこうなるんだよね」といった意見もあった。
この動画は広く拡散され、ピーチさんが勤務していた会社のCEOがXで声明を発表する事態に。CEOは「動画は痛々しかった。解雇通告には上司が常に関与しているべきだ。人事もだが、全てを任されるべきではない」と話し、今回の解雇通告は「もっと親切に、人道的に行われるべきだった。今後改善に注力する」と締めくくった。
一方、一部のXユーザーに将来のキャリアを心配されていたピーチさんだが、それは余計なお世話だったようだ。ピーチさんはビジネス系SNS「LinkedIn」のアカウントで、2月頭にすでに新たな職場が決定したと報告している。