英国でプロのバレエダンサーを目指すナイジェリア出身の少年を追ったドキュメンタリー『MADU』が、3月29日にディズニープラスで独占配信される。
映画の主人公は、アンソニー・マドゥ(Anthony Madu)さん。ナイジェリア・ラゴスの貧困地区で育ち、現在は英国・バーミンガムのバレエスクールに通う。
彼の人生を変えたのは、たった44秒の動画だった。
2020年、マドゥさんは当時、ラゴスの貧困地区・アジャンバディにあるバレエ教室「リープ・オブ・ダンスアカデミー」に通っていた。同アカデミーは、Instagramを通じて生徒たちのレッスンの様子を日々発信していた。
ある日投稿されたのは、雨が降るなか、裸足で踊るマドゥさんの姿だった。長い手足をしなやかに動かし、軽やかに、ときに力強く舞う。“今足りていない条件が満たされたとき、もっと色んなことができるんじゃないかと想像してみてほしい”。そんなコメントとともに投稿された動画は瞬く間に世界中に拡散され、各国から大きな反響が寄せられた。
この動画をきっかけに、ニューヨークに本拠地を置く世界最高峰のバレエ団「アメリカン・バレエ・シアター」の付属校「ジャクリーン・ケネディー・オナシススクール」から奨学金のオファーを受けた。しかし、新型コロナウイルスの影響で、授業がオンラインになってしまう。
現在は、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団と提携する「エルムハースト・バレエ・スクール」に留学している。2023年3月には、カミラ王妃と面会する様子が報じられていた。
ディズニーは2022年秋に、マドゥさんのドキュメンタリーを制作すると発表。先に公開された予告編では、ナイジェリアの家族の元を離れ、時に涙を流しながらバレエのレッスンに励む様子や、「ダンスができなくなるかもしれない」と予期せぬ課題に悩む姿などが映し出されている。