あるドラァグ・クイーンの、“憧れのひと”との思わぬ対面が話題になっている。
サプライズがあったのは1月半ば、アメリカ、ウェスト・ハリウッドの有名なゲイバー「The Abbey」でのこと。ドラァグ・クイーンのジョー・ロペスさんが、米歌手ジェニファー・ロペスさんに扮し、新曲「Can’t Get Enough」のパフォーマンスを終えた直後の瞬間だった。
舞台裏のカーテンから登場したジェニファーさん本人に、観客は大盛り上がり。観客の反応に気が付いたジョーさんも後ろを振り返ると、信じられないという表情で叫び声を上げた。
ハグの後、ジョーさんの横に立ち「ありがとう、パフォーマンスに私は必要ないかな」と語りかけたジェニファーさんに、緊張した面持ちのジョーさんが「そんなことない、私は終わったから次はあなたの番」と返し、会場は笑い声に包まれた。
BBCのインタビューで、ジョーさんは「自分はこの人からたくさんの自信をもらっていて、すごく長いこと尊敬してきた人。自分にとって憧れの人で、ずっと見上げてきた人なんです」と、ジェニファーさんと対面した喜びを語った。
「ジェイロー(ジェニファーさんの愛称)が大好きになったのは、自分がまだ若いゲイの男の子だった2000年代前半や1990年代後半、自分を見てくれると感じられるシンボルや人を探すのが大変でした。当時はいまのように、私たちのような人たちを投影・表現してくれる存在があまりいなくて…なので、私はそういう存在を女性に求めていて、ジェニファー・ロペスは自分には一番だったんです」
「彼女は、『自信が持てなかったときに、自信を与えてくれた人』です。それを本当に感謝しています」
ジョーさんは、自身のInstagramにも、ジェニファーさんとハグする様子やサプライズの瞬間を投稿。「憧れの女性と会った」と興奮気味に感謝の気持ちをつづっている。
ジェニファーさんは、LGBTQ当事者らの権利を積極的に支持する活動でも知られている。2014年には、同性カップルが養子を育てるTVドラマ『ザ・フォスターズ』のプロデューサーを務めたことを評価され、LGBTQの認知と理解を社会に広めたアーティスト等に贈られるGLAADメディアのヴァンガード賞を受賞した。
さらに、2022年の米音楽授賞式「iHeartRadio Music Awards」のパフォーマンスでは、彼女に扮した12人のドラァグ・クイーンを舞台に招き、ヒット曲に合わせた圧巻のステージを披露している。