(編注:この記事には性暴力の描写が含まれます)
アメリカのプロレス団体WWE(ワールド・レスリング・エンターテインメント)共同創設者で会長のビンス・マクマホン氏が、レイプや性的搾取の人身取引の容疑で訴えられた。
マクマホン氏を訴えたのは、WWE元従業員のジャネル・グラント氏だ。
コネティカット州連邦地方裁判所に提出された訴状によると、グラント氏はマクマホン氏から雇用の機会と引き換えに性的関係を迫られ、「心理的拷問や身体的暴力を受けた」と主張している。
他にも、マクマホン氏からWWEのレスラーや他の男性とセックスをするよう指示されたほか、リベンジポルノの脅迫を受け、雇用継続と引き換えに「異常な性的関係」を要求されたと訴えている。
性的暴行や人身取引の訴え
グラント氏は2019年6月から2022年3月までWWEで働いていたが、マクマホン氏の妻リンダ・マクマホン氏に関係を知られて解雇され、300万ドルと引き換えに秘密保持契約にサインするよう圧力をかけられたと述べている。
訴状には▽2020年5月に3人での性行為の最中にマクマホン氏がグラント氏に排泄した▽2021年6月にマクマホン氏とWWEタレント・マネジメントのジョン・ローリネイティス氏にWWE本部のローリネイティス氏のオフィスで交互にレイプされた▽マクマホン氏から勤務時間中に彼や他のWWE従業員とセックスをするよう指示された、などの性的暴行の訴えが書かれている。
グラント氏はマクマホン氏やローリネイティス氏に加え、「不正行為を積極的に隠蔽しようとした」としてWWEも訴えている。
親会社は「深刻に受け止める」
訴訟についてWWEの親会社であるTKOグループ・ホールディングスは「マクマホン氏は、TKOの管理業務やWWEの日常業務監督に携わっていません。この件は、TKOが経営に関わる前に起きた問題であり、グラント氏の申し立てを真摯に受け止め社内で対応します」とハフポストUS版への声明で述べた。
TKOは、WWEと総合格闘技団体「アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC)」が2023年に合併して設立され、マクマホン氏が取締役会長を務めている。
マクマホン氏は2022年、ウォールストリート・ジャーナルの報道で性的不正行為と不倫を隠すために16年にわたり4人の女性に1200万ドル以上を支払っていたことが明らかになり、WWEトップの座を退いたが、数カ月後に会長職に復帰した。
2023年7月には、不正行為に関連して連邦捜査官の捜索令状が出されたものの、不起訴処分になっている。
グラント氏は、マクマホン氏の「残酷さと卑劣さ」が原因で、肉体的・精神的にも苦しめられ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と希死念慮で衰弱状態になったと訴えている。
裁判では、2022年の秘密保持契約の無効化と損害賠償の支払いを求めている。
提訴の2日前の1月23日に、NetflixはWWEやTKOグループ・ホールディングスとパートナーシップ契約を結び、ライブイベント「Raw(ロウ)」やその他の番組の独占配信権を得たと発表した。契約は10年間で5億ドルと報じられている。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。