ガラスに映った自分の姿を来る日も来る日も日が落ちるまで見つめる1羽の鳥が、イギリスで「ひとりぼっちの白鳥」として関心を集めている。
地元住民から熱視線を受けるのはシュロップシャー州に住むメスの白鳥。1年以上も前から地元の学校にやって来ては教室のガラス窓の前で過ごし、夕方になると帰るという「ルーティン」を繰り返している。
BBCが配信した動画には、零下5度という極寒の朝、凍った池の上を足を滑らせながらそろりそろりと歩く1羽の白鳥が映っている。少し内股気味の歩みで向かう先は毎朝決まって近くの学校。1時間目が始まる前に着くと、自分の姿が映るガラス窓の前に陣取る。
2022年から通ってきているといい、池から学校までの道のりには車の往来のある道路もあるが、横断歩道などをうまく使って渡るなど慣れたものだ。
地元の人たちはこの白鳥を「サリー」と呼び、愛着を感じている。
バーミンガムライブによると、学校は鳥類保護センターなどに相談し、サリーを保護区域に連れていってもらったが、それでもサリーは毎日戻ってくるという。
サリーが姿の映るガラス窓の前で過ごすことについて、地元住民たちの間では2022年に死別したパートナーの「ハリー」を思って悲しんでいるという説が有力だ。
鳥の専門家は鳥類も仲間を失うと悲しみを行動で示すことがあるとし、鳥類保護センターの広報担当は「白鳥は一般的に一度つがいになると生涯添い遂げる」とバーミンガムライブの取材に答えている。
ただ、まったく別の見方も出ている。
ウスターシャー州にある水鳥保護団体は、サリーがガラス窓に映る姿を敵だと思って、縄張りを守ろうとしているという説を唱えている。
同団体の職員はBBCに「白鳥が車のサイドミラーを猛烈に突いているという相談の電話を受けます。自分の姿なのに、敵が縄張りに侵入してきたと思っているのです」と語っている。