1月13、14日に行われる大学入学共通テストを前に、大学入試センターなどが、試験当日に痴漢の被害に遭った場合に追試験が受けられることを受験生らに呼びかけている。
過去には、受験生を狙った痴漢行為を煽るような投稿がSNS上で相次いだ。
内閣府は「痴漢は重大な犯罪です」と強調。各地の警察や鉄道各社も警戒態勢を強化している。
「被害者は一切悪くない」政府の政策パッケージに明記
政府の「痴漢撲滅に向けた政策パッケージ」(2023年5月)によると、痴漢被害は特に若年層の女性にとって身近な性暴力被害となっているという。
内閣府が16歳から24歳を対象に実施した調査では、女性の10人に1人以上が痴漢の被害に遭ったことがあると回答した。2019年からの3年間に東京都で検挙された痴漢事件のうち、被害者の約77%が10代・20代の若年層だった。
一方、全体の約3%は男性が被害者となっていることなどを踏まえ、同パッケージでは「性別や年齢に関係なく被害者となり得ることにも留意が必要である」と言及している。
また、痴漢対策を進める上での基本認識として、次の5点を挙げている。
・痴漢は重大な犯罪である
・痴漢の被害は軽くない
・被害者は一切悪くない
・被害者を一人にしてはいけない
・痴漢は他人事ではない
「受験票の『問合せ大学』に電話を」
入試などの受験日に学生が痴漢被害に遭うケースはこれまでにも確認されている。
被害に遭った受験生の受験機会の確保のため、文部科学省は大学などに対し、「試験時間の繰り下げや別日程への振替等の対象とするなど、受験機会の確保のための柔軟な対応に努めるよう周知する」としている。
大学入試センターはXで、政府の「痴漢撲滅に向けた政策パッケージ」を踏まえて共通テストQ&Aを更新したと報告。
「試験場に向かう途中に生じたやむを得ない事由として、追試験の対象となります。このような場合は、速やかに受験票に記載されている『問合せ大学』に電話連絡を行ってください」と呼びかけている。
内閣府男女共同参画局も、大学入試センターの投稿を引用する形で「痴漢は重大な犯罪です」と改めて強調。「痴漢被害にあったり目撃したときは、周りの人に助けを求め、110番してください」と投稿した。