篠山紀信さんの一言が、「ジョン・レノンとオノ・ヨーコ」の世界的な1枚を生んだ。生前に明かした撮影エピソード

写真家の篠山紀信さんが83歳で亡くなりました。ジョン・レノンさんとオノ・ヨーコさんを撮影した“Love Fantasy with John Lennon and Yoko Ono”のエピソードを紹介します。
1980年11月17日に発売されたジョン・レノンとオノ・ヨーコのレコード『ダブル・ファンタジー』のアルバムジャケット
1980年11月17日に発売されたジョン・レノンとオノ・ヨーコのレコード『ダブル・ファンタジー』のアルバムジャケット
Michael Ochs Archives via Getty Images

写真家の篠山紀信さんが1月4日に死去したと、NHKなど各メディアが報じた。83歳だった。

篠山さんは、数々の著名人を撮影してきた。代表作の一つが、生前のジョン・レノンさんと、オノ・ヨーコさんを捉えた“Love Fantasy with John Lennon and Yoko Ono”だ。

2人がくちびるを重ねたこの一枚は、2人のアルバム「Double Fantasy」のカバー写真や、写真展「篠山紀信展 写真力」のポスターなどに使われた、篠山さんの代表作だ。

篠山さんは、この写真撮影のエピソードについて、オノ・ヨーコさんの公式サイトで明かしている。

「Double Fantasy」のカバー写真、制作秘話は?

オノ・ヨーコさんから電話で、アルバムのカバー写真撮影の依頼があったという。

篠山さんは、ニューヨークを訪れ、レコーディング中のジョン・レノンさんに初めて会った。

ジョン・レノンさんの印象について「驚くほど温厚で、丸眼鏡の奥の瞳には優しい微笑みが潜んでいた」とつづっている。

2人は時間を忘れる程レコーディングに熱中し、息子のショーンさんにレコーディングされたばかりの「Beautiful Boy」を演奏していたという。

世界的に有名となったこの写真は、2人の自宅ダコタ・ハウスの目の前にある、セントラルパークで撮影された。

秋の夕暮れの池のほとりのベンチに座る2人に、篠山さんはキスをするように頼んだ。

それから3ヵ月後、アルバムが完成した矢先にジョン・レノンさんは銃殺された。

写真はもともとカラーで撮影していたという。どういう理由か、実際のジャケットカバーは白黒で発表されたと、篠山さんは振り返っていた。

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