能登半島地震や、羽田空港での航空機衝突炎上事故などの惨事の報道が連日続いています。
テレビやSNSなどで、火災や建物が倒壊した映像・写真を何度も目にした人も少なくないと思います。
こうした惨事報道に連日触れることは、人々に、深刻で長期的な心理的影響を与えることが専門家によって指摘されています。影響を受けるのは、成人だけではなく、子どもも同様です。
一般社団法人「日本トラウマティック・ストレス学会」が公開する資料「惨事報道の視聴とメンタルヘルス」では、心を守るために注意したい点を、成人向け・子ども向けにわかりやすく紹介しています。
▼成人・子どもが注意すること
・惨事報道の刺激は必要最小限にする
惨事報道に接した量と心理的反応が比例することが知られています
・同じ内容の惨事報道を繰り返し見ないようにする
繰り返しの視聴は、ストレス反応を高めることが知られています
・衝撃的な映像の視聴を避ける
衝撃的な映像は、ストレス反応を高めることが知られています。
・「ながら見」は控える
ながら見で不用意に惨事報道にさらされて、過剰な刺激となるリスクがあります
・トラウマの体験者や精神疾患を抱える人は、惨事報道によって不調になりやすい
惨事報道を見ることで、過去のトラウマ体験への反応や現在の苦しみが高まることがあります
▼子どもに対して注意すること
・子どもの年齢と発達を考えて、惨事報道との距離の取り方を決める
子どもは、成人と比べて、安全・安心への不安がより高くなります
・子どもの惨事報道の視聴時間を親が制限する
頻回の視聴は、ストレス症状を高めることが知られています
・子どもが、トラウマティックな内容に不用意に曝されないようにする
子どもの年齢と発達に応じて、大人が管理し、衝撃的な内容が子どもの目に触れないようにしましょう
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同学会は1月2日、能登半島地震の発生を受け、被災地で不安な思いで過ごす人々と、支援者に向け、参考となる資料集を公式サイト上に公表しています。
被災地で子どもの心のケアをする際に参考になる、災害後のストレスマネジメントの方法も紹介しており、「災害後の死や破壊が与えうる衝撃度を考えると、子どもや青年とのコミュニケーションには特別な注意が必要」だと周知しました。
保護者に対しては、「子どもと話す前に、あなた自身の反応について他の大人と話し合うことが有益です」「子どもとは、災害に関する自分の気持ちや状況についてだけでなく、子どもの好きなことや話したいことも会話しましょう。日常生活の出来事について話すことは、健康に過ごすために大切です」などと呼びかけています。