2023年も残すところあとわずか。師走の日々をいそがしく過ごしながら、そろそろ正月の予定が気になってきたという人も多いだろう。
年末年始といえば「帰省ラッシュ」「Uターンラッシュ」がおなじみの光景だ。とくに今度は、新型コロナウイルスの影響が一段落し、特段の制限もなく日本列島を移動できる4年ぶりの正月ということになる。
そんな中、首都圏の駅や電車内で目につくのが、JRの告知である。12月28日から1月4日にかけて、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」が全席指定になるという。
列島の「大動脈」とも言われる東海道・山陽新幹線は、時間帯によっては10分以内の間隔で「のぞみ」が発着する。時刻表も見ずにホームに駆け込んで、目の前の車両に飛び乗るという人も少なくないのではないだろうか。
そんなことができるのも、ふだんは「のぞみ」の16両のうち1〜3号車が自由席だからだ。決まった席にしか座れない指定席の「窮屈さ」より、自由席の「柔軟さ」の方が断然心地よいと筆者は思っていた。なにより、自由席は特急料金もいくぶん安いのだ(東京ー新大阪で850円違う)。
だが、そんな「自由席の自由」をこの年末年始は謳歌できない。今回だけでなく、今後は年末年始とゴールデンウイーク、お盆を合わせた「3大ピーク期」には「のぞみ」を全席指定にすることが発表された。そうする理由について、JR東海・西日本は次のように説明している。
東海道・山陽新幹線の3大ピーク期では、日・時間帯によっては指定席が早い段階で満席になることや、始発駅以外の駅からご乗車の場合には着席や乗車ができないこともありました。また、指定席をご予約いただけなかったお客様には、ホーム等で自由席のご乗車を待つため長い間お並びいただくことや、自由席へのご乗降に時間がかかり列車の遅れが発生することもありました。
「自由席に飛び乗ればいいじゃん」と筆者が思っていられたのは、東京駅ユーザーだったからなのだ。
「始発駅以外の駅からご乗車の場合には着席や乗車ができないこともありました」と言われてみると、それもそうだねと納得するしかない。始発駅からの人もそうでない人も、みんな平等に席が確保できますというのが、全席指定席化の意味なのである。
年末年始は東京ー新大阪間では「のぞみ12本ダイヤ」を活用するとともに、東海道・山陽新幹線を通しで走る列車を増発するという。1時間に12本といえば5分に1本。都心の電車なみである。
とはいえ、コロナ禍が落ち着いた今、帰省ラッシュやUターンラッシュのピーク時にはそうとうな混雑が予想される。万が一、指定席が取れなかったらどうすればいいのか。
日時をずらして空席を探そう
JRが強く推奨するのは、当たり前ではあるけれども「日時をずらしての利用を検討する」ということだ。
JR東海・西日本の両社が発表した新幹線の指定席予約状況(11日現在)によると、予約のピークは下りは12月29日(金)、上りは1月3日(水)となっている。12月29、30日の午前に東京駅を発車する「のぞみ」はほぼ満席という。それでも、空席状況を確認できる「JRサイバーステーション」を見ると、29日でも朝6時台や午後4時以降にはまだ空席がみられる。日付をずらせるならば、28日や31日はいくらか余裕がある(ただし12月15日時点。予約はお早めに)。
「なんとしても自由席」派は?
ピーク時だろうがなんとしても自由席に乗りたいという人は、「ひかり」や「こだま」を利用する手もある。「ひかり」は16両のうち5両、「こだま」は10両が自由席だ。
ただし「のぞみ」に比べて本数が少ない上、止まる駅も多く時間がかかる。日時によっては長時間の混雑を我慢しなければならないかもしれない。運転区間も限られているので、場合によっては乗り換えが必要になる。
最後の手段もなくはない
最後にもう一つ。どうしても指定席が取れず、日時をずらすこともできない場合でも、新幹線には乗れる。自由席特急券を買って「のぞみ」に乗れば、座る席はないが、普通車のデッキなどに立って目的地に向かうことはできる。
ただしJRはホームページで「混雑等により、ご希望の列車にご乗車になれない恐れもございます。駅係員の案内に従って、ご乗車ください」と注意喚起している。
また「自由席特急券で乗車する場合、客室内にも入ってよいですか」という質問には、「基本的には普通車デッキでの立席をお願いしているところではございますが、混雑状況により、お客様を客室内の通路にも誘導する場合もございます。その際は、指定席をご利用のお客様のご迷惑とならないよう、ご配慮をお願いします」と答えている。