年末の風物詩「今年の漢字」がきょう12日午後2時に発表される。その年の世相を表す“漢字一字”を全国から募集するもので、日本漢字能力検定協会が1995年から始めた。
最も応募数の多い漢字を12月12日(いい字いち字)の「漢字の日」にちなんで、京都・清水寺で森清範(せいはん)貫主(かんす)が揮毫する。
2022年に選ばれたのは「戦」。ウクライナ侵攻や北京五輪の熱戦が背景
ロシアによるウクライナ侵攻などがあった2022年は「戦」が選ばれた。記録的な円安や原油価格の高騰に伴う、急激な物価高や電力不足との「戦い」、冬季歴代最多18個のメダルを獲得した北京五輪の「熱戦」、大谷翔平の2桁勝利2桁本塁打など記録への「挑戦」といった意味が込められた。
今から10年前、15年前に選ばれた漢字は?
10年前の2013年に選ばれたのは「輪」。
2020オリンピック・パラリンピックの東京開催や富士山の世界文化遺産登録が決まり、多くの人々が団結して、「輪」となって喜んだこと。また、プロ野球では東北地方が一丸となった応援により、東北楽天ゴールデンイーグルスが日本シリーズ初優勝を果たし、日本中にチームワークの大切さ、応援の輪を印象づけたことが理由に挙げられた。
この年の秋に、“友達の「輪」”をつないできた人気長寿番組『笑っていいとも!』の放送終了が発表されたことも背景にあったという。
15年前の2008年は「変」が選ばれた。
「Change(変革)」を訴えたオバマ氏が次期大統領に決定したことや、日本では前年に続いて短期間で首相が交代したことが背景となった。また、事故米や有害物質入り食品問題が発覚し、食に対する安全性の意識が変わったこと、平成生まれのアスリートや日本人のノーベル賞受賞など、さまざまな分野で時代の明るい変化を感じられたことも、選定の理由となった。
20年前の2003年に選ばれたのは「アレ」
20年前の2003年に選ばれたのは「虎」。
その背景には、長引く不況に加え、暗い出来事ばかりが起こり、日本中が閉塞感に苛まれるなか、長らく低迷していた阪神タイガースが18年ぶりにセ・リーグ優勝を果たしたことがあった。
また、衆議院総選挙に初めてマニフェストが導入され、政治家たちが「虎」が吠えるかのように、「日本を変える」などと訴えたことも理由に挙げられた。「ダメ虎」と言われていた阪神タイガースに、不況に苦しんだ国民の姿を重ね合わせたり、マニフェストを掲げて自身の訴えを繰り広げる政治家に星野仙一監督の姿を投影したりして、阪神のように「日本も強く変わってほしい」との期待感を抱く意見も多かったという。
ちなみに1995年から2022年の過去28回で、最も多く登場した漢字は「金」。2000年、2012年、2016年、2021年と計4回選ばれ、主に五輪開催や政治とカネの問題に絡められているようだ。また、「災」は2004年と2018年、「戦」は2001年、2022年に二度選ばれている。
2023年はロシアによるウクライナ侵攻の長期化や、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃など悲惨な状況が続くほか、国内では旧ジャニーズ事務所の性加害問題も表面化した。その一方、メジャーリーグでの大谷翔平選手の活躍や阪神タイガースの38年ぶりの日本一、将棋の藤井聡太八冠の誕生など明るい話題も。果たして、この一年はどんな漢字で表現されるのだろうか。