「消費者は、より耐久性があって多機能で、さらにここが極めて重要なことだが、社会的・環境的に責任を果たしている製品を求めるべきだ。そして、企業はそれらを提供すべきだ」
アメリカの人気アウトドアブランド「パタゴニア」の創業者、イヴォン・シュイナード氏が11月23日、「低品質がもたらす高いリスク」と題した記事をNew York Times紙に寄稿し、粗悪品が地球に及ぼす影響について警鐘を鳴らした。
寄稿の中でシュイナード氏は、「粗末に作られ、すぐに捨てられてしまう安物は、人と地球を殺している」と指摘。
「科学者が推定する持続可能な地球資源」を大幅に上回る量が消費されており、その原因を「粗悪な道具からファストファッションに至るまで、私たちのモノの過剰消費にある」と述べた。
そして、製品の寿命を意図的に制限するなどの計画的陳腐化によって売り上げを伸ばすメーカーやブランドが「修理するより買い替えたほうが安い」ことを当たり前にしてしまったと批判。政府には「品質をめぐる国家的な革命」を求めた。
環境問題に積極的に取り組んできた企業として知られているパタゴニアは、2023年に創業50周年を迎えた。2018年には企業理念を「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」に変更。2022年には、気候変動と闘うため、30億ドル(約4300億円)規模の同社の全株式を信託団体と環境団体に譲渡すると発表し、世界を驚かせた。
パタゴニアはリサイクル素材を広く使用し、高品質で耐久性に優れた製品が高い人気を得ている。リペアにも力を入れており、イベントやワークショップも開催してきた。
シュイナード氏は寄稿で、ビジネスの成功の秘訣について「品質へのたゆまぬこだわり、つまり長持ちし、地球への悪影響を最小限に抑えるものづくりをしてきたからだ」と語り、最後にこう締め括った。
「毎年買い替えなければならないナイフよりも、何十年も使える炭素鋼のナイフを選び、責任ある生活を送るための鍵として品質を受け入れることができれば、私たちは唯一捨ててはならないもの、つまり地球を守ることができるかもしれない」