悪天候を避けて、安全に帰宅できるはずだったのにーー。
Googleマップが示した迂回ルートに従って車を走らせたところ、どこにもつながっていない砂漠に誘導されてしまう人が続出した。提供元のGoogleが謝罪する事態になっている。
アメリカ・ロサンゼルスのテレビ局KTLAによると、問題は11月のサンクスギビング休暇中に起きた。
カリフォルニア州サンタモニカに住む家族が、隣接するネバダ州ラスベガスから車で帰宅するときのことだった。一家は18日に開催されたF1世界選手権「ラスベガス・グランプリ」の決勝を観戦し、楽しい気分のまま帰路についた。
南カリフォルニアとラスベガスを結ぶ高速道路「I-15」を使うのが一般的だが、この日は砂嵐のため一部が通行止めになっていた。
そこでこの家族はGoogleマップで別ルートを検索した。砂嵐の中を帰るよりも50分早く目的地に着けると表示されたルートは、人里離れたネバダ砂漠を通るというものだった。
「最初の2時間は山々を縫うようにきちんと舗装された道を走っていたんです」とこの家族はテレビ局の取材に答えている。ところが、そのまま車を走らせていると、舗装されていないキングストンピークの高地砂漠に入っていった。
Googleマップに同じルートを示されたのはどうやらこの家族だけではなかったようで、前方には多数の車が列をなしていた。
一家は舗装されていないでこぼこの道に不安を感じつつも、「誰も引き返さなかったから、どこかにつながっていると思いました」とワシントン・ポストに語っている。引き返すにも、道幅は狭く、後続車が連なっていた。
カリフォルニア・ハイウェイ・パトロールに救助を求めたが、別の事故対応のため、駆けつけてもらえなかった。一家は茂みや岩場、サボテンの中を何とか進み、ようやく引き返した。ガソリンスタンドまで車を走らせ、レッカー車とウーバーを呼び、再びラスベガスへ。そこから飛行機に乗って帰宅したという。
Googleはこの事案について「このような騒ぎを起こしてしまい申し訳ございません。今回案内したルートへの誘導はもう表示されないようにしました」と謝罪している。