世界の一部地域でトコジラミによる被害の報告が急増し、各国が対応に追われている。
フランスでは9月頃、住宅や宿泊施設などでトコジラミの大量発生が確認された。また韓国ではトコジラミの急増を受け、11月13日から4週間の防疫期間として至る所で予防対策が行われている。
日本も例外ではなく、被害件数は増加傾向という。トコジラミに刺されてしまうと、一体どうなるのか。その対策も合わせて紹介する。
そもそもトコジラミとは?
大阪府健康局の説明によると、トコジラミは体長5~8mmの茶褐色。名前に「シラミ」が含まれているものの、シラミ目ではなくカメムシ目に属している。SNSではこの分類を「意外」「知らなかった」などという人も少なくないようだ。
「日本では従来から都市の住宅密集地域で一般的な虫で、殺虫剤の普及とともに1970年代には激減したが、近年、再びトコジラミの被害が増加している」などとしている。
成虫は吸血せずとも1年以上生きて、オス・メスに関わらず、幼虫から成虫まですべて吸血するという。夜にひとが寝ている時に吸血することが多く、丸く膨れ上がる特徴がある。
吸血後はすばやく潜伏場所に戻るため、トコジラミの存在に気が付かないことがあるという。また、人以外にも犬や猫などにも吸血するという。
吸血されると激しいかゆみに襲われることがある。症状がひどい場合には十分に睡眠がとれなかったり、皮膚をかきむしることで皮膚の炎症が起こったりと、生活に支障をきたす恐れがあるという。
40代の女性はハフポストの取材に対し、「韓国への旅行を計画しているが、トコジラミが増えているというニュースを見て、宿泊はせず日帰りに変更しました。宿に泊まるのは不安があった。日本でも被害が広がらないか心配」と話す。
海外のみならず、日本でもトコジラミの被害件数は近年増えつづけている。
日本ペストコントロール協会の集計によると、2008年には100件以下だったトコジラミ相談件数は2009年から100件を超え、2018年には600件近くにまで上っている
被害の拡大には拍車がかかっている。NHKによると、ダスキンの害虫駆除部門への問い合わせの件数は、2023年4月までの時点で、昨年の同じ時期のおよそ3倍にのぼっているという。
被害を抑えるための「4つ」の対策
旅行先で付着して、家庭に持ち込まれることも多いというトコジラミ。どう対処すればよいのか。虫除けなどを数多く販売するアース製薬のアドバイスが参考になる。
公式サイトでは「トコジラミに刺されたくない方に試してほしい4つの対策」として、旅行先でトコジラミ被害に遭わないためのポイントを紹介している。
まず注目することとして、旅行や出張などでホテルを利用する際、ベッドや床・壁などの「隙間」をチェックするように伝えている。トコジラミが潜んでいないか確認し、痕跡がある場合は部屋変更などを依頼するとよいという。
グレードの高いホテルでも油断は禁物だとしている。
次に、トコジラミを見つけた場合は専用の駆除剤で退治すること。留学先やホームステイ先でも被害報告があるとして、ホテル生活が長期にわたる場合は駆除剤を1本常備しておくと便利だと勧めている。
第3に、アイマスクなどを着用して電気をつけたまま眠ることも有効だという。トコジラミは明るい場所が苦手で、電気をつけたままにしておけば基本的には出てこないという。
確実な手法とは言えないものの、刺されるリスクを減らすことが期待できるとしている。
最後に、宿泊先や外出先から持ち帰らないように注意すること。トコジラミは繁殖力が高いため、何よりもまず持ち帰らないことが重要だという。
明るい場所で荷造りをし、帰宅後のスーツケースや手荷物に潜んでいないかも確認することが大切だとしている。