今年もハロウィンがやってきた!
ハロウィンの日には、子どもたちが元気に家から家を訪ね回り、お菓子をもらい、それをつまみ食いする。
近年は日本でも、子どもたちがコスチュームを着て楽しそうに集まったりお出かけしたりしている姿が見られる。
ハロウィンは1年の中でも特別な日で、子どもたちもお菓子を過剰摂取しがち。テンションが高いのはきっと砂糖の取りすぎだから...と考える親も多いだろう。
それは、あなた自身が子ども時代に親から言われたことがあったり、他の子どもがそのように注意されているのを聞いたことがあったりする経験からかもしれない。
何十年もの間、親は子どもの“ハイテンション”な行動を甘いお菓子のせいにしてきた。「シュガーハイ(砂糖の取りすぎでハイになる)」という概念はよく知られているが、実は、砂糖をたとえ大量に食べても、子どもの行動に影響を与えるという科学的根拠はないのだ。
「子どもは砂糖を取りすぎると“ハイテンション”になる」の科学的根拠はない
「この迷信は本当に根強いんです」と話すのは、インディアナ州の小児科医、ジャニン・ジー=チェン医師だ。
1995年の研究では、砂糖を食べた後、子どものアドレナリンレベルが大人よりも上昇することが示され、砂糖と子どもの行動の関係性が示唆された。しかし他の研究ではこれらの知見を再現できていない。
1994年に発表されたある研究では、親が「砂糖に敏感」だと述べる3歳〜5歳の子ども25人と6歳〜10歳の子ども23人を対象に調査を行った。
1つのグループには高糖質食を、別のグループにはアスパルテーム(多動との関連を指摘される人工甘味料)を含む低糖質食を、そして最後のグループにはサッカリン(研究者が多動に影響がないとみなす人工甘味料)を含む低糖質食を食べさせた。
この研究は二重盲検法で行われ、家族も研究者も、それぞれの子どもがどの食事療法を受けているのか知らなかった。
子どもたちの行動と認知能力は毎週評価された。その結果、異なる食事療法を受けた「砂糖に敏感」とされる子どもたちの行動や認知能力に有意な差はなかった。
ジー=チェン医師は、「他の10〜15件の研究でも、『シュガーハイ』の概念は否定されています。それから約30年も経っているのに、私たちはいまだにハロウィンの甘いお菓子が子どもたちの行動に影響すると心配しているのです」と語る。
砂糖を食べたら体はどう反応するのか
では、実際私たちが砂糖を食べたとき、体はどのように反応するのか?
「血糖値が上昇し、膵臓からインスリンが分泌されます」とジー=チェン医師は話す。
ノースキャロライナ州の小児科医、ジル・ライト医師は、「インスリンが分泌され、糖を処理します。だから血糖値が高くなるのは短期間です」と述べる。
1型糖尿病の場合は例外で、膵臓がインスリンを作らない場合、つまり他から(注射で)インスリンを得る必要があるケースだ。しかし、こういった病気を原因とする高血糖は気分を高揚させるのではなく、体調を悪化させる。
マラソンや自転車選手のような長距離アスリートが、運動中に糖度の高い「エネルギー・ジェル」のような小袋を摂取していることについてライト医師は、「炭水化物からエネルギーを得られるのは確かですが、薬物で“ハイ”になるような感覚とは違います」と話す。
「エネルギー・ジェル」から得られるエネルギーは穏やかで短く、「ランナーズハイ」のようなものだと言う。
では、ハロウィンのようなスペシャルな日に、子どもたちが突拍子もないような行動を取るのはなぜだろうか?
それは、純粋に子どもが興奮しているからだ。
子どもたちは実際に砂糖によって「ハイ」にはならないものの、多くのお菓子をもらい、食べられることへの興奮によってドーパミンが分泌されている可能性が高い、とジー=チェン医師は話す。
また、砂糖がADHDの子どもの症状を悪化させるという説もあるが、これを裏付ける研究はない。ADHDの子どもも、他の子どもたち以上に砂糖の摂取を制限する必要はないという。
ライト医師は、「もし親として、自分の子どもが飲食したものに特定の反応を示すことが分かったら、その情報をもとに、子どもにその食品をどう摂取させるかを考えてください。しかしそれは個人によって違い、全ての人に当てはまるものではありません」と語った。
ハロウィンは楽しく過ごそう
両医師は、基本的には子どもの節度ある砂糖摂取を提唱するが、1年中楽しみにしている祝日にはそうでなくても良いと言う。
「毎日ボウルいっぱいのチョコを食べるのは良くありませんが、例外の時もあるのです」とジー=チェン医師は話す。
という訳で、子どもたちがハロウィンを楽しんで”ハイテンション”になっていても、それを甘いお菓子のせいにするのはやめよう。
ただし、子どもが寝る前に歯を磨いたかは確認しよう。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。