アメリカは、パレスチナ・ガザ地区への大規模攻撃を続けるイスラエルを無条件に支援することで世界の舞台で信頼を失っていると米連邦議会の下院議員が訴えた。
民主党のプラミラ・ジャヤパル議員は10月29日、NBCの「ミート・ザ・プレス」に出演して、アメリカ政府がイスラエル政府を無条件に支援している点を問題視した。
イスラエルでは、10月7日の武装勢力ハマスの攻撃で約1400人が死亡し、200人以上が人質になっている。
この攻撃への報復として、イスラエル軍はガザ地区への大規模な空爆を続けており、これまでに8000人を超えるパレスチナ人が死亡。そのうちの多くを子どもが占める。空爆に加えて、イスラエルはガザ地区への食糧や水、燃料、医薬品の供給を遮断している。
さらに、27日にはこれまでにない大規模な空爆が行われてガザでは通信が遮断され、29日まで復旧しなかった。
こういったイスラエルの攻撃に対し、国連や人権団体から、国際人道法違反や民族浄化との批判が高まっているものの、アメリカ政府は一貫してイスラエルへの支持を表明してきた。
バイデン大統領は10月25日にイスラエル支持を改めて強調し、パレスチナ保健省が発表するガザ地区の死者数の信頼性に疑問を呈した。
このアメリカの姿勢は、隣国ウクライナに侵攻して、市民への攻撃を続けるロシアへの対応と大きく異なる。
ジャヤパル議員は「これはダブルスタンダードだと認識しなければならない」と番組で述べた。
「アメリカはロシアのウクライナ包囲や、電力インフラへの攻撃、食糧や水、燃料の遮断を正当に非難してきました」
「イスラエルのガザ包囲も国際法違反だと非難しなければ、アメリカの道徳上の信頼性と権威は損なわれるでしょう。それを認識しなければなりません。私たちは信頼を失っており、率直に言えば世界の中で孤立しています」
バイデン大統領が20日に議会に要請した1060億ドルの予算のうち、約半分の614億ドルがウクライナへの軍事支援で占める。イスラエルへの軍事支援は約143億ドルだ。
ウクライナとガザの市民への人道支援は約92億ドルだが、このうちガザ支援が占める割合は不明だ。
ジャヤパル議員は「大統領とアメリカは確実に責任があります。なぜなら。私たちは、イスラエルへの最大の軍事支援国であり続けてきたからです」とも指摘している。
「私たちは、アメリカの納税者のお金が何に使われるのかを、問えるようにしなければなりません。例えば、大統領がイスラエルに戦争の国際法を遵守するよう求めたとき、実際に守られているかを確認する責任があります。そうしなければ、私たちは世界の他の国とは異なる形で、共犯者となるでしょう」
ガザ地区を包囲しているイスラエルは、エジプトの国境経由での支援物資搬入を、限られた量しか認めていない。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、ガザでは生活物資が枯渇し、数千人が支援団体の倉庫に押し入り小麦粉や衛生用品を手に入れ始めている。
UNRWA広報のジュリエット・トゥーマ氏は「これはガザの治安崩壊の始まりを示す、憂慮すべき兆候です」と述べている。
「それは同時に、人々の絶望が最高潮に達していることを意味しています」
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。